料理素材辞典【3】
ジャガイモ(ポテト)

ジャガイモの栄養や選び方、保存方法や調理法のコツなどをお届けしています。
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料理素材辞典【5】ビタミンC豊富な、ジャガイモ

料理素材辞典【1】夏はトマト






【ジャガイモの基礎知識と種類】

 ジャガイモはインカ文明を支えたと言われ、古くから食用にされてきました。
 生産量は北海道が日本一で、7割を占めています。
●科目・原産地
 ナス科ナス属。原産地は南米のアンデス山脈の高原。

●旬
 年中お店に出回っているジャガイモですが、ちゃんと旬があります。北海道産はほかより一足早く9月から出荷されますが、他の地域では、冬、11月〜3月が旬です。
 ジャガイモの収穫は夏から秋にかけて行われますが、ジャガイモは翌年の春に芽を出すまでの間は休眠期で、この間に糖化作用が進み、甘みが増します。
 つまり取りたてで、日持ちするという点では旬は秋。
 でも最も甘みが強い、おいしさの旬は3月です。

 新ジャガは初夏にやや早取りした早熟なものを呼ぶ場合と、夏に収穫したばかりの完熟したジャガイモを呼ぶ場合とがあります。

●種類
[男爵](だんしゃく)
 日本で最も多く生産されています。ころっとした形で芽が深いことが見た目の特徴です。
 ホクホクした粉質(こなしつ)で、粉ふき芋にぴったりです。
 煮崩れしやすいので、長時間煮込む料理より、さっとゆでて作るポテトサラダや、つぶして使うコロッケやマッシュポテトに向いています。
 名前の由来は、川田男爵の農園でイギリスから持ち帰っ たジャガイモを品種改良して作られたからです。門外不出とされていましたが、しばしば農園から盗まれるほど、おいしさの評判は高かったとか。
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[メークイーン]
 細長く、芽が浅いことから、調理しやすさで人気があります。
 ねっとりした粘質で、きめ細かく、甘みと水分が多いことが特徴です。
 煮崩れしにくいので、シチューやカレー、おでん、肉じゃがなどの煮込み料理に向いています。
 味はポテトサラダやマッシュポテトにも向いています。
 糖分と水分が多いので、コロッケやフライドポテトにすると、茶色くなってしまいます。
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[シンシア]
 フランス原産の品種で、「日本テレビ 新どっちの料理ショー」特選素材として取り上げられ、注目を集めています。
 わたしはある種苗メーカーの仕事をしているときに出会っていたので、放送のときにはこの新品種を知っていましたが、番組中でも言っていたように、栽培が難しく、ほとんど一般には売られていません。
 ともかく口当たりがなめらかで、あの咳き込みそうなジャガイモ独特のポソポソ感がありません。香りと豊かな味わいがあり、冷めても美味しくいただけます。
たまご型で芽が浅いので、ピーラーだけで皮が簡単にむけて、料理しやすい品種です。
男爵やメークイーンよりきめが細かくなめらかで、裏ごしの必要がないほど、特にマッシュポテトはクリ−ミーで美しく仕上がります。 煮崩れが少なく、煮込み料理に最適です。 皮が薄く味がよいので皮ごと食べるのもお薦めです。ただし、日に当ててしまい、緑化した場合は皮をむいてください。


[キタアカリ]
 男爵の血を継ぐ品種で、最近、人気が高まっています。
 ビタミンCが男爵の1.5倍である他、カロチンも豊富で、美容と健康にいいジャガイモです。
 火の通りが早く、調理時間が短くて済みますが、逆に長時間煮込む料理には向きません。
 ポテトサラダやコロッケ、スープに向いています。「煮崩れたジャガイモが好き」派には肉ジャガもおすすめです。
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こだわりグルメの会 キタアカリ

[レッドムーン]
TVや雑誌でも大評判!赤いジャガイモ 【レッドムーン】 北海道 十勝産 5kg箱 (M/L/LL混載)  とんねるずの石橋貴明の料理番組「イシバシ・レシピ」に出てきた、赤坂「フリッツ」の須藤義廣シェフがコロッケに使っていたジャガイモがこれです。
 赤い皮に黄色の肉質、甘味が強く、栗にも似た甘味とホクホク感。シェフも言っていたように、サツマイモとジャガイモの間のような味です。ほっくりとしてますが、煮崩れしづらいので煮込み料理、揚げ物、炒め物に向いています。
 休眠期間は短いので長期保管がしづらく、また栽培が難しいことから生産量が少なく、幻のジャガイモと呼ばれることも……。
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[インカのめざめ]
 アンデス原産の小粒のジャガイモを日本向けに品種改良した、赤色の「インカレッド」、紫色の「インカパープル」と、濃黄色のこの「インカのめざめ」合わせて、「カラフルポテト3兄弟」とか、「インカ3兄弟」と呼ばれています。
 栗やサツマイモ、西洋かぼちゃに似た味わいです。
 煮崩れしにくいので煮物向きで、揚げても褐色になりにくいのでポテトチップスやフライドポテトにも向いています。


クリーン農業技術で作られた「インカのめざめ」
北海道から直送の「インカのめざめ」


【ジャガイモの豆知識:ジャガイモは毒?】


 中世のフランスをはじめ、しばしば「ジャガイモは毒」という説が流布しました。
 実際、ジャガイモには毒が含まれる場合がありますが、弱い毒で、大人ならまず心配ありません。
 これはソラニンと呼ばれる物質で、伸びた芽などに含まれます。保管の際に光(太陽光でも蛍光灯でも)に当ててしまった場合も皮が緑色になり、ソラニンができます。  加熱しても毒は消えないので、皮が緑になったジャガイモは食べるのを避け、伸びた芽はえぐって取りましょう。
 へこんだ目の部分には毒はありませんので、ほじくる必要はありません。



【ジャガイモの選びかた:ヘタと色、形をチェック!】


 品種がどれでも良いものの特徴は同じです。
 順調に育ったジャガイモは皮が薄くて、シワがなく、表面がなめらかで、ふっくらした形になります。持ったとき、ずっしりと重量感があり、表面もしっかり色づいています。
 皮が厚いものは育ち過ぎで、肉質が硬くなっています。
 大きすぎるものは肉質が硬くなっていたり、スが入ってしまっている可能性があるので避けましょう。



【ジャガイモの保存法:発芽抑制にはリンゴ】


 ジャガイモに光は禁物です。太陽光だけでなく、蛍光灯の光でも当てると、皮が緑になり、有毒物質ソラニンができます。必ず暗いところで保存しましょう。
 冷暗所、つまり軒下や床下などが保存場所として適しています。しかし、マンションではなかなかそういう場所もありませんね。
 サツマイモやサトイモなど、一般にイモ類は低温に当てると低温障害を起こすので、冷蔵庫保存してはいけないと言われていますが、ジャガイモは低温でも大丈夫なので、冷蔵庫の野菜室に入れても構いません。

 実は温度がやや高いほうが甘くなりますが、発芽しやすくなりますし、長期に渡るとジャガイモがやせてしまいます。

 リンゴが出すエチレンガスは果物の成熟を進める働きがありますが、ジャガイモに対しては発芽を抑える働きを持ちます。
 リンゴと一緒にポリエチレンの袋に入れておくと、発芽しにくくなります。
 乾燥にも注意してください。保存の際は湿気のある場所を選びましょう。



【ジャガイモの栄養:加熱しても壊れないビタミンがたっぷり!】


●美白に、風邪予防に最適なビタミンCがたっぷり
 かつて船乗りはビタミンC不足による壊血病に悩まされましたが、それを救ったのが日持ちして、しかもビタミンCたっぷりのジャガイモでした。
 一般にビタミンCは水と火に弱く、調理することで多くが失われてしまいます。けれどジャガイモのビタミンCはでんぷんに保護されているため、まるごとゆでて8割以上、揚げれば9割以上が残ります。
 ビタミンCは美白に欠かせない栄養素です。皮膚科ではシミ治療にビタミンCを用います。
 また免疫力を高めるので、風邪が心配な季節は、しっかりビタミンCを補給したいものです。

●ビタミンBもたっぷり
 ジャガイモにはビタミンB1も豊富で、その量はごはんの3倍もあります。ビタミンB1はごはんや砂糖などの糖質を分解する酵素を助け、エネルギーに変えてくれる働きがあります。つまり、ビタミンB1を摂ると糖質が盛んに使われ、脂肪として蓄えられにくくなります。また脳に必要なエネルギーが送られることにより、いらいらも少なくなり、集中力も高まります。
 さらに、脂質やアミノ酸、炭水化物の代謝を促進するビタミンB2も多いので、肥満防止に役立ちます。ビタミンB2は細胞の再生を助けるので、肌を美しく保つ効果もあります。

●塩分を体外に出すカリウムも豊富
 ジャガイモには高血圧やむくみの原因になる塩分を排出する働きを持ったカリウムが豊富に含まれています。

●塩分を体外に出すカリウムも豊富
 ジャガイモは意外にもカロリーはごはんの半分と控えめです。
 血糖値の上昇しやすさを示すGI値もベークドポテトや電子レンジ調理したジャガイモは高めですが、ゆでた場合には60を切りますから、ゆでたジャガイモならダイエットにも向いています。



【ジャガイモの調理のコツ:ゆでるときは水から】


●ゆでるときは水から
 表面と内側の温度差が少ないほど、煮崩れしないので、ゆでるときは水からイモを入れて、ゆでるようにしましょう。

●切ったら、すぐに水に
 ジャガイモは切った後、空気に触れると茶色く変色するので、皮をむいたり、切ったら、すぐ水にさらし、変色を防ぐと共に、アク抜きしましょう。

●熱いうちにマッシュ
 ジャガイモを裏ごししたり、つぶすときは、ゆでたての熱いうちに行いましょう。冷めてからでは、デンプン粒が破れて、口当たりが悪くなります。

●ドレッシングは熱いうちに、マヨネーズは冷めてから
 ポテトサラダを作る場合、ドレッシングは熱い内にあえたほうがなじみますが、マヨネーズは熱い内にあえると分離してしまうので、冷めてからあえます。

●ポテトサラダは常温で
 ポテトサラダは冷蔵庫で冷やすと、口当たりが悪くなり、おいしくありません。温かいほうがおいしいです。



【ジャガイモを使った料理】


 北海道の自然の幸を味わう石狩鍋
 ローズマリーの香りを楽しむ、手軽な一品ローズマリーポテト
 ローズマリーバターで香りよくローズマリーバター炒め
 温まる具沢山スープクラムチャウダー
 甘酸っぱ辛さがおいしい中華ジャガイモの細切り炒め
 簡単、スピーディポテト・グラタン

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