ガーデニング基礎知識【水やり】

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水やりの基本


 わたしが植物を育て始めた当初は、植物が弱った様子を見せると、「あ、水が足りない!」と思って、いつでも水をやっていました。ところが、どんどん弱っていき「なにがいけなかったの?」と何度も悩みました。
 後になって、根腐れで弱っていたものに水をやって逆に枯らしていたことに気づきました。

 植物は水があればあるほど喜ぶわけではないんですね。多くても、少なくてもダメ。適切なタイミングで、適切なやりかたで水をやる必要があります。

 水やりは露地植え、つまり庭などの地面に直接植えられている植物の場合と、鉢などのコンテナに植えられている場合で全く異なってきます。

 露地植えなら、雨が多くて土が肥えた日本では、植えつけてから根づくまでの間や、日差しの強い夏に何日も雨が降らないとき、ミントなどのように多湿を好む植物などを除き、基本的には水やりは必要ありません。

 問題はコンテナ栽培の水やりです。
 コンテナ栽培の場合は、根が水を求めて伸びていっても、すぐに器に遮られてしまいます。だから自然任せにはできません。
 かといって、いつでも、どの植物でも毎朝、毎晩のように水やりしても、うまく育ちません。

【水やりの意味】
 土が乾かないようにするだけなら、留守のときなどに便利な自動潅水機(自動灌水機)を使えばいいのですが、年中、これでは植物のためによくありません。
「なぜ?」

 ひとつの理由は乾かないこともよくないことだからです。土が乾くことがないと、水を求めて根が伸びていきません。根が伸びないと、植物は安定せず、地上部の育ちも悪くなります。

 もうひとつの理由は水やりが単なる水分補給ではないからです。
 植物の根には水以上に空気が大切です。空気が不足すると、植物は窒息してしまいます。水やりの基本原則に従って「新しい水を鉢底から流れ出るまでたっぷり与える」ことにより、土の空気を入れ替えられます。常に乾かない程度にちびちび水をやっていたのでは、水やりの目的のひとつ、空気の入れ替えが行えません。

【土が乾いたら水やり】
 基本的には少なくとも土の表面が乾いてから水をやりましょう。
 ブルーベリー、インパチェンス、エリカなど水切れに弱い植物は土の表面が乾く直前くらいに与えたほうがいいでしょう。
 乾き気味を好むローズマリーやゼラニウムなどは表面の土が乾いてから数日後に水やりします。とはいえ、夏のカンカン照りが続くようなときはあまり間を開けると弱ってしまうので、注意が必要です。

【鉢底から流れ出るまで、たっぷり水やり】
 表面が濡れただけで安心してはいけません。下のほうの土にはまだ水が届いていません。鉢底から流れ出るまで水をやると、土の中の空気も新鮮な空気に入れ替わります。
 鉢の受け皿にたまった水は捨てましょう。たまったままでは、水が切れず、土中の空気が不足して、根腐れする原因になります。

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ハーブの水やり


 「ハーブ」という言葉から発想される代表的なハーブ、ローズマリータイムなどヨーロッパ系のハーブの多くは過湿を嫌うので、ハーブと言えば乾き気味にと思いこんでしまいがちです。

 けれどむしろ乾燥を嫌うハーブもいろいろあります。

 たとえばレモンバームは水が不足すると、香りが悪くなります。良い香りを楽しむなら水を切らさず、また大きくなり過ぎない内に摘んで、生の葉でお茶を楽しみましょう。  昔から鬱に効くハーブとされており、ブルーな気分になりがちな梅雨に最適なハーブティになります。

 ミントチャイブも水を切らさないように注意しましょう。
 ミントの中でも特にウォーターミントは水を好みます。丈夫なので、水を切らしてもすぐには枯れませんが、水を絶やさないほうが瑞々しい葉を楽しめます。朝晩に水やりしたい、水やり大好き園芸家にはぴったいのハーブです。

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夏、水切れさせたら、まず日陰へ


 強い日差しの日が続く季節、一度水をやりそこねただけで、鉢植えの花は簡単にぐったりとしてしまいます。

 そうは言っても、忙しくて、つい、うっかり…ということはあるもの。
 気づいたらしおれかかっていた場合、それが昼間なら、気温が高いときにいきなり水をやると、かえって植物に負担をかけてしまいます。

 まず日陰に移動してから、水をやりましょう。
 枝がぐったりと下を向いてしまったような場合は、鉢ごとバケツなどの水に頭のところまでつけてしまてしばらく置いておくと、元気になります。



冬の水やり


 戸外の植物には、冬は夏よりもやや間をおいて水をやりましょう。夏なら表面が乾いたときに水をやる植物には、冬は表面が乾いてから2、3日後に水をやるくらいでいいでしょう。
 特に休眠期の植物は水をあまりほしがらなくなるので、水を控えめに。ただし冬でも開花したり、目覚めて芽が伸び出している植物はある程度水が必要です。
 冬は地面が凍りやすいので、寒い時刻、早朝や夕刻に水をやるのは避けましょう。やや昼に近い午前中が適切です。
 特に夜は、緊急時以外、水やりは避けてください。地面が凍って、根をいためてしまいます。



留守中の水やり


 ゴールデンウイークや夏休みは帰省や旅行で留守にすることが多い季節ですね。
 同時に水やりが欠かせない時期でもあります。

 留守中の水やりは誰しも悩むところです。

 地植えの場合は2、3日なら出かける日の朝、たっぷり水をやっておけば、だいたい大丈夫です。
 ただ旅行前には植替えや挿木は避けましょう。根づかない内は簡単に水切れで参ってしまいます。

 鉢やプランターの場合、特にエリカなどのように水切れに弱い植物の場合には2、3日でも夏は水なしではダメになってしまいます。

 しかしバケツなどに水を張って鉢をつけていくと、根腐れしがちです。


 留守中の専用水やり道具が売っています。これらは土が乾くとその分だけ水を送ってくれるので、根腐れの心配があまりありません。

 鉢の数が多く、本格的に園芸なさっているかたの場合は自動水やり器(自動潅水機あるいは自動灌水機)がおすすめです。
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 簡易タイプのひとつのタイプは水を入れた器から出ているフェルトなどを土に挿しこんでおくと、フェルトを伝わって水が送られるタイプ。500円くらいで売っています。


簡易水やり道具図  より手軽なタイプは溝のある三角錐のプラスチックで、水を入れたペットボトルの口にこれをつけて、土に逆さにして挿しておくと、必要な分だけ水が送られるタイプ。200〜300円で売っています。

Click Here!  陶器でできたおしゃれな人形のようなタイプもあります。
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水やりを考えた素材別鉢選び


 ミントのように湿りめが好きな植物、ローズマリーのように乾き気味が好きな植物……植物ごとに水やり加減はちがいます。
 こまめに観察して、それぞれに合った水やりをすることが一番です。

 しかし、現実生活の中では理想どおりにはいきません。水やりする暇がなくて、枯らしてしまうこともしばしば。特に真夏、日当たりの良いベランダに置いた鉢植えなどは毎朝、毎晩、水をやっても追いつかないことさえあります。

 逆に日陰になることが多い家では、乾き気味を好む植物の土がいつまでもじとじと湿っているなんてこともあるのではないでしょうか?

 水やりのタイミングや植物の水の好みがうまく合わない場合、土の入れ替えもひとつのポイントですが、まあ、鉢植えの場合は大概買ってきた土を使うので、それほど大きく問題がある土は少ないでしょう。
 次に考えるべきは鉢の素材です。鉢の素材次第で水加減を調節することができます。

 鉢を素材別に分けると素焼き鉢、釉が塗られた焼き物の化粧鉢、プラスチック鉢、紙製鉢、木製鉢などがあります。それぞれ水分調節機能が異なります。

Click Here! 【素焼き鉢】
 素焼き鉢は排水性と通気性に優れているため、植物にとっては一番良い鉢です。水分が鉢の表面からどんどん蒸発、その際に気化熱によって熱を奪い、土の温度の上昇を抑えてくれますので、暑さに弱い植物の栽培にも適しています。ベランダなど日差しが強すぎる場所にも向いています。
 ただ、それだけに乾きやすいため、まめに水やりできないひとはミントバジルをはじめとする湿り気味を好む植物を育てる場合には、素焼き鉢は避けたほうがいいでしょう。
 逆にじめじめ湿りやすい環境で、乾き気味の環境を好むヨーロッパ原産のハーブを育てる場合には素焼き鉢がおすすめです。
 素焼き鉢の中には、700度程度の低温で焼いた、本来の「素焼き鉢」(温室鉢などの名前で売られていることも)、縁に釉薬をかけて約1000度の高温で焼いた「駄温鉢(だおんばち)」、1000〜1300度の高温で焼いた「テラコッタ鉢」があり、高温で焼いたものほど、丈夫ですが、通気性や排水性は劣ります。
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3号懸崖「山水透明釉」【化粧鉢】
 美しい色などで観賞用に好まれますが、釉がかけられているため、通気性や排水性はかなり劣っています。
 盆栽用に室内で用いられたり、鉢カバーとして、その中に素焼きやプラスチックの鉢に植えた鉢植えを入れることも多いようです。
 鉢カバーの場合、動かせる鉢なら鉢カバーから出して、風呂場などで水を流れるくらいたっぷりやって、水が切れてから、鉢カバーに戻しましょう。
 大きな鉢で動かせず、そのまま水をやる場合には、鉢カバーの中に水がたまった状態にならないように少し水を控えめにあげるなどしましょう。
 化粧鉢を鉢カバーではなく、鉢そのものとして利用する場合、水やりの際に空気が入れ替わるよう、勢いよく水をやるように心がけましょう。
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セラアート 丸鉢33【プラスチック鉢】
 軽くて価格も安く、最もよく使われています。通気性や排水性がないので、過湿に陥りやすいことと、鉢の中の土が高温になりやすいことが欠点です。
 毎日必ず水やりをするのが難しいひとが湿り気味を好む植物を育てる場合には向いています。ただし、ベランダではプランタースタンドコンテナキャリーなどを利用して、鉢がコンクリートのたたきの熱を直接受けないように注意しましょう。
 最近は土に還すことのできる、生分解性プラスチックなども登場しています。
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◎ワンダーポット 1205F【紙製鉢】
 再生紙を用いて作られた紙製鉢は軽さが魅力で釣り鉢には最適です。通気性は素焼き鉢以上で、排水性にも優れています。
 ただし、水分を含むと変形しやすく、1、2年しか持ちません。湿り気を好む植物に使うと、水のやりすぎによる根腐れは防げますが、まめに水やりする分、耐用年数は短くなります。
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素朴な丸みの丸い木製鉢/大【木製鉢】
 通気性や排水性にも比較的優れており、外気の熱を伝えにくい長所も持っています。
 ただ、乾きすぎるとたががゆるんだり、常に湿っていると腐ってきます。良い状態を保つにはまめな管理が必要です。
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