ガーデニングを
満喫できる家に


季節の庭仕事

季節ごとの庭仕事のコツをお届けします。
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花を買うなら…

■ 8月の庭仕事(1)……水切れ対処・ベランダの暑さ対策・土の再生・夏バージョン
■ 8月の庭仕事(2)……水やりのポイント・鉢の素材で水加減調節・水やりを考えた素材別鉢選び
■ 8月の庭仕事(3)……台風対策
■ 9月の庭仕事(1)……種蒔きは秋がお勧め・種蒔き用土の準備・発芽までの手助け・種はけちるべからず
■ 9月の庭仕事(2)……園芸シーズン到来!・挿し木は楽しい・苗の著作権・失敗が少ない水挿し
■10月の庭仕事(1)……秋蒔きと挿木のすすめ
■10月の庭仕事(2)……株分け・植替えのコツ
■10月の庭仕事(3)……園芸シーズン ポイントチェック・秋の消毒や退治で、病害虫の越冬阻止!・自分で育てなければ食べられない、本当のハーブ
■11月の庭仕事(1)……冬支度
■11月の庭仕事(2)……寒さ対策
■11月の庭仕事(3)……室内や温室への植物取込
■12月の庭仕事(1)……土の再生
■12月の庭仕事(2)……リースづくり
■12月の庭仕事(3)……寄せ植えのコツ
■12月の庭仕事(4)……冬の鳥対策・最近人気のワイルドストロベリー
■ 1月の庭仕事(1)……木の消毒と土の天地返し
■ 1月の庭仕事(2)……水やりの基本、冬の水やり
■ 2月の庭仕事(1)……土の準備と簡単家庭菜園
■ 2月の庭仕事(2)……ガーデンプランニングのための日当たり把握・春に備えて土の準備
■ 3月の庭仕事(1)……良い苗選び
■ 3月の庭仕事(2)……タネまきは春は遅めに、秋は早めに・タネまき適期はサクラの開花などを基準に
■ 4月の庭仕事(1)……防虫対策アブラムシとエカキムシ
■ 4月の庭仕事(2)……サイズや移植の好みで変わるタネまき方法
■ 5月の庭仕事(1)……梅雨対策:枝すかしと病気予防
■ 5月の庭仕事(2)……苗の鉢への植えつけ
■ 5月の庭仕事(3)……苗の庭への植えつけ
■ 6月の庭仕事(1)……梅雨対策:水やり・なめくじ&ヨトウムシ対策
■ 6月の庭仕事(2)……防虫対策
■ 7月の庭仕事(1)……ハダニ対策・留守中の水やり・バジルの手入れ
■ 7月の庭仕事(2)……病害虫早期発見は観察から・害虫の見分け方・病気の見つけ方
■ 7月の庭仕事(3)……植物のための旅行準備〜給水道具〜、〜刈り込み〜、〜日避けなど〜
※わたしが住む関東を基準に書いています。



■1月の庭仕事

    ──▼────休眠期の木の消毒作業──────

 昨年カイガラムシやダニ、ハマキムシに悩まされたのなら、木が休眠期にあるいまの内に、消毒しておきましょう。

 わたしのお勧めはマシン油。基本的に毒ではなく、虫の気門を封じて窒息死させます。
 葉を食用にするお茶の木にも使われる農薬ですが、一応収穫前の数週間は避けたほうがいいようですので、収穫したいハーブ類などがあれば薬がかからないようにビニールなどをかぶせておきましょう。
 2週間おきに何回か散布します。3月になってから行うと薬害が出る場合がありますのでお早めに。

 石灰硫黄合剤もよく効くようでバラの消毒にも使われるようですが、アルカリ性であるため木酸液とは併用できず二週間くらい間を空ける必要があります。その他、注意点が多いので、パッケージの説明をよく読んでください。

 「園芸基礎知識」の「農薬散布のコツ」を読んで上手に散布を行いましょう。

    ──▼───土の天地返し───────────

 いま植物を植えてない場所はせっせと天地返ししておきましょう。

 天地返しとは土の表層と深層を入れ替えることです。理想的には50cm、できれば30cm、無理ならせめて10cmの深さで土を掘り返してください。

 これによって暖かい土の中で越冬している虫を死滅させることができます。深く掘れば掘るほど、春から生える雑草が減ります。

 ついでに苦土石灰を混ぜ込むと、酸性に寄っていた土がアルカリ性に戻ります。特にヨーロッパ系のハーブはアルカリ性を好むのでおすすめです。ローズマリーラベンダーなど生えている植物にも根に触れない位置に混ぜ込んでおくとよいでしょう。
 また堆肥や腐葉土も混ぜ込みましょう。土が肥えてきます。


    ▼△▼△▼1・2月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼

【ハーブ】
 空いた畑の天地返しを行っておきましょう。
 セージフェンネル、マジョラムなど戸外で越冬はさせられるものの寒さに強くないハーブは11月頃から地上部を切り詰めます。いまの時期はマルチや簡易温室(支柱を立ててビニールをかける仕組みのものが園芸店で売っています)に入れるなどして寒さ避けしてあげましょう。
 ローズマリーラベンダーは品種によって寒さに強いものと弱いものがあります。品種によっては戸外では越冬できません。

【草花・花壇】
 ハーブと同様です。

【鉢花】
 寒さに弱いものは室内に取り込みますが、室内は空気が乾燥しているので保湿を心がけましょう。シクラメンなど開花しているものはせっせと花がらを摘んでください。種ができると養分が取られてしまいます。
【観葉植物】
 日当たりのいい場所に置いてあげるようにしてください。水切れにも注意。葉ダニが発生する場合は乾燥しすぎですので葉に霧を吹きかけたりしましょう。

【庭木】
 12月中旬〜2月にかけて、消毒と寒肥を施してください。  落葉樹の剪定の時期です。1、2月にはモクレン、ハナミズキ、2、3月にはフヨウやムクゲの剪定を行いましょう。

【家庭菜園】
 空いた畑の天地返しを行っておきましょう。



■1月の庭仕事(2)

    ──▼──── 水やりの基本 ──────

 わたしが植物を育て始めた当初は、植物が弱った様子を見せると、「あ、水が足りない!」と思って、いつでも水をやっていました。ところが、根腐れで弱っていたものに水をやって逆に枯らしていたことに、後で気づきました。
 植物は水があればあるほど喜ぶわけではないんですね。多くても、少なくてもダメ。適切なタイミングで、適切なやりかたで水をやる必要があります。

 水やりは露地植え、つまり庭などの地面に直接植えられている植物の場合と、鉢などのコンテナに植えられている場合で全く異なってきます。

 露地植えなら、雨が多くて土が肥えた日本では、植えつけてから根づくまでの間や、日差しの強い夏に何日も雨が降らないとき、ブルーベリーなどのように極端に多湿を好む植物などを除き、基本的には水やりは必要ありません。

 問題はコンテナ栽培の水やりです。
 コンテナ栽培の場合は、根が水を求めて伸びていっても、すぐに器に遮られてしまいます。だから自然任せにはできません。
 かといって、いつでも、どの植物でも毎朝、毎晩のように水やりしても、うまく育ちません。土が乾くことがないと、根は伸びません。根が伸びないと、植物は安定せず、地上部の育ちも悪くなります。

●土が乾いたら水やり
 基本的には少なくとも土の表面が乾いてから水をやりましょう。
 ブルーベリー、インパチェンス、エリカなど水切れに弱い植物は土の表面が乾く直前くらいに与えたほうがいいでしょう。
 乾き気味を好むローズマリーやゼラニウムなどは表面の土が乾いてから数日後に水やりします。

●鉢底から流れ出るまで、たっぷり水やり
 表面が濡れただけで安心してはいけません。下のほうの土にはまだ水が届いていません。鉢底から流れ出るまで水をやると、土の中の空気も新鮮な空気に入れ替わります。  鉢の受け皿にたまった水は捨てましょう。たまったままでは、水が切れず、根腐れの原因になります。


    ──▼─── 冬の水やり ───────────

 冬は夏よりもやや間をおいて水をやりましょう。夏なら表面が乾いたときに水をやる植物には、冬は表面が乾いてから2、3日後に水をやるくらいでいいでしょう。

 冬は地面が凍りやすいので、寒い時刻、早朝や夕刻に水をやるのは避けましょう。やや昼に近い午前中が適切です。
 特に夜は、緊急時以外、水やりは避けてください。地面が凍って、根をいためてしまいます。



■2月の庭仕事

    ──▼─種蒔き、挿木、植付のための土の準備──

 庭に種蒔き、挿木、植付などをするためにはその1、2週間前に土を準備しておく必要があります。

 土を深さ30cmほど掘り返して、古い根や石などをどけてから、苦土石灰と肥料を混ぜ込んでおきます。苦土石灰は土をアルカリ性にするためのもの。エリカやつつじなど酸性度を好む植物を植える場合には要りません。でもヨーロッパのハーブはおおむねアルカリ性を好むのでたっぷり混ぜ込んでおきましょう。

 苦土石灰などは混ぜたばかりのときは植物にとってはまだ強すぎるので、時間をおいてなじませる必要があります。だから1、2週間前にやっておかなければなりません。


    ──▼───雑草取り────────────

 いまの時期だとまだ雑草はほんの双葉や小さい状態。いまなら抜くのも簡単です。
 これから目につくたびにさっさと抜いておくと、雑草取りがおおごとにならずに済みます。


    ──▼───簡単家庭菜園──────────

 野菜の高値はまだ続きそうです。
 そこで買ってきた野菜の捨てる部分から野菜を育ててみませんか?

 まずニンジン。頭の部分を3cmほど切って、水を張った皿(植木鉢の受け皿など)に入れて日の当たるところに置いておきます。後は水を絶やさないように気をつけるだけ。二週間くらいするとニンジンの葉が育ってきます。パセリ代わりに刻んでサラダやスープにかけましょう。わたしのおすすめレシピニンジンサラダの上にかけるとおいしいですよ。

 小ネギなども根っこの部分を5〜8cmくらい残しておいて、土に割り箸などでネギの根よりもやや浅い穴を開けて、そこへ根を挿して穴に土を入れて、頭が少し出た状態で植えつけます。植えつけた日は水をやらないでください。根腐れしやすくなります。翌日水をやってください。
 これまたしっかりまた小ネギが生えてきます。味噌汁などに使う程度の量をいちいち買ってくると余るし、高くつきますよね。これで小ネギはもう安心。


    ▼△▼△▼2・3月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼

【ハーブ】
 コリアンダーシソパセリクレソン、カモミールなどがそろそろ種蒔きできます。
 挿木はクレソン、ジャスミン、ローズマリーミントがそろそろです。

【草花・花壇】
 そろそろ雑草が生え始めるので、小さい内に抜いておきましょう。
 宿根草は新芽が伸び出す前に、株分けや植替えを行っておきましょう。

【鉢花】
 花が終わった鉢は切り戻して、植え替えましょう。

【観葉植物】
 暖かい日は昼間、日光浴をさせてやるとよいでしょう。でも寒くならない内に家の中に戻しましょう。

【庭木】
 落葉樹の剪定の時期。2、3月にはフヨウやムクゲの剪定を行いましょう。

【家庭菜園】
 2月末から3月にかけてはジャガイモの植付時です。ラディッシュなど春蒔きの種もそろそろ蒔けます。



■2月の庭仕事(2)

    ──▼─ガーデンプランニングのための日当たり把握──

 いまは庭仕事でやれることが少ない季節です。こういう時期にしっかりとガーデニングプランを作っておくといいですね。

 プランニングというと、いきなりどこに何を植えて…と始めたくなります。でも植えたいものばかり考えていくと、庭全体を見たときには魅力的ではなくなってしまいます。
 まず最初にしっかりと庭を眺めてみましょう。そして、どこに木陰がほしいのか、どこからどこへと道を延ばしていきたいのか、どこを立ち止まりたくなる場所にするのか、ガーデンチェアなどを置いてゆっくりするスペースはどこにするのか……庭のイメージを描いてみてください。

 ざっとイメージした後に、今度は現実に立ち戻ります。方眼紙に庭の図面を描きます。家の図面などがある場合にはそれを写すといいでしょう。
 図面を用意したら、庭を歩きながら、日当たりなどを見直します。特に周囲の家が迫っている都会の狭い庭では、季節によって日当たりになる場所、日陰になる場所が全くちがいます。夏は庭に出ることも多くて、把握できているでしょうが、冬の日当たり状況などは知らぬことが多いもの。午前中、午後、夕方と庭に出て、それぞれの時間の日当たり状況を見ておきましょう。
 把握した日当たり状況などを図面にメモします。

 冬に日当たりが悪いところは、常緑の植物には向かない場所。この時期に花芽をつける植物にも向いていません。でも夏は日当たりが良いのなら、夏に開花する一年草などなら育てられる場所です。
 一年中日当たりが良い場所を確保できなくても、楽しみ方はあります。

 現状を把握してから、図面で現実と、ほしいイメージを重ねながら、プランニングしていきましょう。

    ──▼───春に備えて土の準備────────────

 3月になれば、すぐに園芸シーズン、種まきや苗の植えつけシーズンになります。もうそろそろ春に備えて、土の準備を始めましょう。

天地返
 庭の場合は、まず1年草を植えていた場所など、空いた場所の天地返し。土を掘り返す作業により、地下で眠る虫を殺したり、雑草の種を日にさらすことになり、この1年の病害虫や雑草の害を格段に減らすことができます。  積雪地域の場合は雪解けしたら、すぐに行いましょう。

土の再生
 鉢などプランター栽培をしている場合、空いた鉢の古土は寒さに当てて消毒した後、土の再生剤などと混ぜれば、また植物を育てる力を持った土になります。土の再生は一番寒い2月が最適です。

●植えつけや種まきのための土の準備
 庭の種まきや苗を植えたい場所、苗を植えつける予定のプランター用の土に元肥を施しておきましょう。元肥には有機質を主とした遅効性の肥料を使います。即効性の肥料は種や植えつけたばかりの植物に消化不良を起させます。
 ローズマリーなどヨーロッパ系のハーブのようにアルカリ性を好む植物を育てる場合には苦土石灰を混ぜ込んで、土をアルカリ性にしておきましょう。
 肥料や苦土石灰は混ぜ入れたばかりの時には植物には強すぎますので、種まきや植えつけより数週間前に行っておきたいもの。だから3月に植えつけなど始めたいなら、もう既に準備シーズンに入っています。

 なお、プランターで種まきする場合には新しい土を使うほうが無難です。発芽したての植物は弱く、細菌にやられやすいもの。庭にたくさんタネを蒔くならともかく、限られた空間であるプランターに少々の種を蒔く場合には、古い土にありがちな細菌に注意しましょう。
 また苗床に種をまいてから、発芽後に移植する場合には、苗床には元肥は施さない土を使うほうが無難で。植え替えない場合には将来のための元肥を施しておかなければなりませんが、植え替えるなら、最初は栄養がないほうがしっかり育ちます。

●雑草取り
 天地返しをするとかなり雑草が生えるのを防げます。でも、いま植物が植えつけてある場所は天地返しが行えませんから、雑草対策が必要です。
 2月も下旬になると、そろそろ雑草が芽を出してきます。まだ小さな芽が出たばかりだと、つい気にならずにほおっておきがちですが、それが春になってから後悔する元です。まだ芽吹いたばかりの小さな内にしっかりと摘み取っておきましょう。
 雑草が地上でしっかりと目立つくらいに大きくなった頃には、根のほうも地下で大きく張ってしまいます。そうなると、ひとつひとつの雑草を抜くのが大仕事。まして春になり、花をつけたりすれば、すぐに種がばらまかれ、どんどんと増えていってしまいます。
 ほんの小さな芽なら抜くのも簡単。そんなに時間もかかりませんから、午前中の日を浴びながら、この時期に毎日5分から10分の雑草取りがおすすめです。午前中に日を浴びると、体内時計も整って、寝つきや寝覚めがよくなる効果もあり、一挙両得です。


    ▼△▼△▼2・3月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼

【ハーブ】

 ウォータークレソンは2月から挿し木を始められます。水挿しがおすすめです。
 霜が立たなくなったら、2月でもコリアンダーは種まきを始められます。
 3月になれば、アニス、ウォータークレソン、カモミール、キャットニップ、ナスタチウム、パセリ、キャラウエイ、シソの種まきシーズン、キャットニップ、セージ、タイム、タラゴン、ミント、ラベンダーの株分けシーズン、キャットニップ、タイムなどの苗の植えつけシーズンに入ります。
 2月の内にしっかりと土の準備をしておきましょう。

【草花・花壇】
 2月の中旬から4月上旬が宿根草の植替えや株分けシーズンです。
 3月になれば、春・夏に花咲く苗の植えつけシーズンになりますから、土の準備をすしておきましょう。
 2月下旬には雑草が生え始めます。小さな芽の内に摘んでしまえば、抜くのも楽です。

【鉢花】
 室内に取り込んだ鉢花は乾燥に注意してください。
 昼間は日に当てるために窓際に置いてやりたいですが、この季節の窓際は夜間にはかなり冷え込むので、夜になったら、窓際から離したところへ移動しましょう。

【観葉植物】
 鉢花同様、乾燥と夜間の窓際の冷え込みに注意してください。
 ハエトリソウなどの温帯植物は2月が植替え適期です。古くなった土から取り出し、元気のある新しい土を入れた鉢に植え替えます。大きくなりすぎていたら、株分けしましょう。

【庭木】
 まだ休眠期の木の消毒を終えていないなら、急いで2月の内に行ってください。特にカイガラムシに悩まされた木はこの時期にしっかり消毒しましょう。カイガラムシは成長してカラが硬くなると、なかなか薬ではやっつけることができなくなります。幼いいまがチャンスです。
 ユキヤナギ、コデマリ、アジサイ、ウツギなど落葉樹は2月、3月に挿し木が行えます。いま、挿し木しておけば、1年後にはしっかりと根づいて、植替えが行えるようになります。

 モクレンやハナミズキの剪定は2月の内に行っておきましょう。フヨウやムクゲの剪定は3月いっぱいまでに行います。
 ツバキは花が終わったら、枝すかしの剪定をします。春になって伸びてくる新梢の先には花芽がついていますので、剪定を遅く行うと、来年の花が望めなくなります。剪定するならお早めに。

【家庭菜園】
 2月下旬から3月上旬はジャガイモの植えつけ時期です。
 3月に入ると、アスパラガスやレタス、ほうれん草など春まきの葉菜類、コカブ、ラディッシュの種まきが始められます。
 2月の内にしっかり天地返しを行い、2月、3月は畑の土作りに励みましょう。



■3月の庭仕事(1)

 沈丁花が満開、春を香らせています。羽衣ジャスミンの花芽もふくらみ、まもなく庭中に高い香りを漂わせるでしょう。

 関東より南なら、寒さに強いものはもう種を蒔いたり、苗の植付ができます。それ以外でもたいがいのものは4月になれば可能です。
 先月書いた土の準備はもうなさいましたか? まだならお早めに庭土を掘り返して苦土石灰や肥料を混ぜておきましょう。寄せ植えなど鉢に植える方も鉢の下1/3くらいに土を入れて肥料を混ぜておくとよいでしょう。種を蒔く場合は肥料は不要です。

 準備を整えたら、楽しいガーデニングプラン。どんな色のどんな花を植えようかと考えたり、園芸品店で苗を選んでいるときが一番楽しいときの気がします。
 今月は苗選びのコツをご紹介しましょう。


    ──▼───良い苗の選び方──────────

 苗選びは大切です。苗次第で栽培の苦労が全くちがいます。

 わたしがガーデニングを始めたばかりの頃、ミントの苗を買ってきて植えたのですが、ヒョロヒョロ背ばかりが伸びて、葉は1センチ足らずと小さく、青臭いばかりでほとんどミントの香りもしませんでした。「冬は洗濯物が乾かないくらい日当たりが悪い我が家では、いくら日陰に強いミントでもだめなのか」と思いました。一所懸命世話をしているのに、葉ダニをはじめ、さまざまな虫がついて、年中食われてばかりいました。
 結局1年半ほど苦労した末、枯れてしまいました。
 
 ところがひとからもらったミントを同じ場所に植えたところ、ほとんどほっといてもどんどん太くしっかりした枝が伸びて、すぐに長さ4、5cmの大きな葉がつきました。第一に香りが抜群。触れただけで甘いミントの香りがあたり一面に漂います。
 
 以来、わたしは「なんたって苗選びが大切!」と思うようになりました。時間があるときはあちこち見て、安売りの中でいい苗を見つけてきますが、時間がないときはいい店で高い苗を買うことにしています。安物買いの銭失い、ダメな苗を買ってきたら、苦労してもしがいがありません。
 
 では具体的に良い苗の条件を説明しましょう。
 
1)徒長していないこと。
2)苗の根元付近が太くてしっかりしていること。
3)葉がしゃきっとしていること。
4)葉が茶色くなっていたり、カビがついていたり…といった病気でないこと。
5)虫がついてないこと。

 さらにハーブの場合は香りも大切なポイント。葉を傷めない程度に軽くこすって、香りをかいでみて、そのハーブらしい香りがするものを選びましょう。青くさかったり、ほとんど香りがしないようであればやめておきましょう。
 
 なお、挿木で増やせる食用ハーブの場合はハーブの苗を買う代わりに野菜売場で良いハーブを買ってきて、挿木で増やすとまちがいありません。


    ▼△▼△▼3・4月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼


【ハーブ】
 関東以西でもう種を蒔いてもいいものはクレソン、カモミール、キャラウエイ、コリアンダーシソ、チャービル、パセリなどです。おおむね5月いっぱいまで大丈夫ですからあまり慌てずに温度が十分上がってから蒔きましょう。
 タイムとタラゴン、ディル、フェンネルラベンダーレモンバームローズマリーは4月に入ってから、セージとコリアンダー、バジル、ミントは4月中旬まで種蒔きは待ちましょう。
 挿木はクレソン、ジャスミン、ローズマリーミントができます。
 
【草花・花壇】
 宿根草の植替えや株分けはあまり芽が大きくならない内に、4月上旬頃までに済ませてしまいましょう。
 いま店で売っている苗、春から夏にかけて咲く草花や球根は植えつけ時期です。

【鉢花】
 そろそろゼラニュームの植替えやガーベラの株分け時期です。
 4月に入ったらポインセチアの切り戻しと植替えのシーズンになります。
 
【観葉植物】
 冬の間室内に取りこんでいたものはまだ外に出すのは早すぎます。昼間、日光浴をさせても夕方寒くならない内に家の中に戻しましょう。

【庭木】
 4月沈丁花や椿の花が終わったら直後に剪定しておきましょう。沈丁花にはお礼肥も施しておいてください。
 
【家庭菜園】
 春野菜、ラディッシュなどの種蒔きシーズンです。カボチャは4月上旬までに種を蒔きましょう。



■3月の庭仕事(2)

 日本全国を見渡すと、桜前線も動き出し、いよいよ春、園芸シーズンの到来です。
 わたしもタネや土を購入すると共に、先日は苗を買ってきて、春らしい優しい色合いの寄せ植えしてみました。

──▼─── タネまきは春は遅めに、秋は早めに ──────

 夏や秋に花咲く植物は春に、春に花咲く植物は秋にタネをまきます。時期は「春は遅めに、秋は早めに」と言われています。

 春の場合、三寒四温と言われるように、暖かくなったと思っても、また寒くなることがしばしばあり、早くまくと、霜などでやられてしまう危険があります。また適温にならない内にまくと、発芽せずに終わったり、開花までにヒョロヒョロと丈ばかり伸びてしまうこともあります。

 秋の場合は寒さを迎える前に、寒さに耐えられる大きさまで育つ必要があり、遅くまくと寒さに当たってやられてしまいます。
 冬の寒さが厳しい地方では耐寒性がよほど強い植物以外は秋まきは難しいでしょう。寒い地方では、暖地では秋にまく植物を春早めにまいて夏に咲かせられることもあります。

    ──▼─── タネまき適期はサクラの開花などを基準に ───

 種まきの適期は暦だけでは語れません。その年によっても気温など気候がちがい、去年と同じ日にまいても早すぎたり、逆に遅すぎたりすることもあります。また、多くの書籍、そしてこのメルマガも関東を基準にしているため、もっと寒い地域や逆に暖かい地域のかたはどう時期を見計らえばいいのか、お悩みではないでしょうか?
 一番確かな目安は周囲の植物の状態です。

●多くの春まき適期はソメイヨシノの満開期
 チャービル、タイム、カモミール、アーティチョーク、チャイブ、トルコギキョウ、カンパニョラ、アスター、コスモス、キンレンカ、マリーゴールド、オキザリスなど一般的に春にまくタネの多くは発芽適温が15〜20℃。ソメイヨシノの満開から葉桜になる頃あたりが適期です。

●暖かめ好みの植物の種まきは八重桜が咲き始める頃
 バジルやセージ、トレニア、ニチニチソウ、マツバボタン、ルドベキアなど発芽適温が20〜25℃と高い植物はそれより数週間遅く、八重桜が咲く頃にまきましょう。

●寒さを嫌う植物は八重桜が散る頃
 トウガラシ、アサガオ、インパチェンス、ケイトウ、コリウス、サルビア、ベゴニア、、ヒマワリ、マツバボタンなどは昼夜の温暖さがなくなる、八重桜が散る頃まで待ってタネまきしたほうが安全です。

 これらを目安に、種をまいたときに記録して、うまくいかなかったときは翌年時期をずらしてみましょう。
「え? 今年失敗したら、来年、また再来年と試すの?」
 そう思いました? わたしも園芸を始めたばかりの頃は「狭い庭なんだから、たくさん育っても困る」とどの植物も1本だけを育てようとして、失敗すると、いきなりあきらめたくなりました。でもしばらく植物を育て続け、ネット上で他人の経験を実感を持って聞いていく内に「百発百中、最初から確実に…なんて無理なんだ」とわかりました。たくさんまいて、たくさん育てて、たくさん失敗して……そうやって覚えていくものなんだと思うようになりました。

 どんな分厚い本を読んでも、結局は一般論しか書いてありません。我が家の庭と全く同じ日照条件、全く同じ気温の庭は他になく、同じ気候の年もないから、ひとりひとりが試行錯誤していくしかないんですね。



■4月の庭仕事

 すっかり暖かくなりました。
 遅めに種蒔きしたほうがいいバジルは「八重桜が咲いたら…」が目印ですが、もうとっくに咲いてますね。わたしは遅れ馳せながら、おととい、種蒔きしました。

 ハゴロモジャスミンとフリンジ系ラベンダーも咲き始めました。ハゴロモジャスミンの花を取って、塗りの器に張った水に浮かべて、自然の芳香剤として部屋に置いています。置いてあるのはキッチンカウンターのダイニング側コーナーの棚です。
 ぎっくり腰になって、しかもよくなりかけたときにパセリの間引きをしようとして、またまギックリ、その日の内に座っていてディスプレイのほうに乗り出した途端、またまたギックリ。2週間立ったのに、まだ恐る恐る動いてます。
 そんなわけで2001年4月のメールマガジンは大幅に遅くなってしまいましたm(__)m。

 もうだいぶ虫たちが活動を始めています。この時期に多い虫の性質と対策をご紹介しましょう。



    ──▼───アブラムシがやってくる!─────

 アブラムシには羽が生えたものと羽がないものとがいます。実は両方とも同じ種類。移動の必要があると羽が生えたアブラムシが生まれて、空を飛んで移動します。

 空を飛んでいるアブラムシが住みかになりそうな植物を見つける目安は色。黄色やオレンジ色を見つけると降りてきます。だから黄緑色の新芽が出る季節はアブラムシ飛来の季節。新芽が丸まっていたら、その陰にはたくさんアブラムシがいます。

 アブラムシの困る点は病気を広めること。アブラムシは口針を葉に刺して栄養分を吸っていますが、この針によって病気を広めてしまいます。

 特にやっかいなのがスス病。ススのように葉が黒ずんでしまいます。これはアブラムシやカイガラムシの排泄物(甘いところから甘露と呼ばれ、アリを呼び寄せます)に黒いカビが生えたもの。特に日照を阻害して、枯れさせてしまいます。

 アブラムシは弱い虫ですが、その代わり、繁殖力はむやみに旺盛。雌だけでどんどん子を産み、ネズミ算なんか真っ青の、ネズミをはるかに上回る勢いで増えます。
 いったん増え出すと、ちょっとやそっとでは減らない上、たとえ薬で殺しても、その後しっかり流しておかないと、死んだアブラムシからスス病が発生するのでやっかいです。

 アブラムシの弱点は光。飛来の季節は大事な植物の周りに銀色のテープをぶらさげたり、不要なCD-ROMを根元に置いておくと、アブラムシが通過してくれます。

 またアブラムシは光の当たらない場所を選ぶので、新芽の芽の奥や葉の裏に隠れているので、薬を撒く時はしっかりそれらの隠れ場所に染み込むように撒きましょう。
 わたしがお勧めする農薬はインドのハーブ、ニームを配合した防虫剤。ニームが我が家の百日紅に頑固にはびこったアブラムシの食欲を失わせ、退治してくれました。



──▼───エカキムシにご用心────────────

 葉に誰かがいたずらがきしたような白い線がぐにゃぐにゃ描かれているのを見たことはありませんか? それが通称エカキムシこと、ハモグリバエ。

 親のハエが葉に卵を産み付けると、孵った幼虫は葉の中を食べながら進んでいきます。その進んだ跡があの絵です。
 アブラナ科の植物が特に狙われます。ハーブではセボリー、ロケット、マスタードが好みです。

 残念ながらエカキムシを退治する決定打はありません。なにせ親は羽が生えて飛んでいるものですから、つかまえることもできません。寄せつけないために一日中見張っているわけにもいきません。

 しかし少なくとも増やさないために、ハエが卵を産み付けたらすぐに抹殺。葉を針のように細い、柔らかな棒で軽く押したような0.5mmくらいの白い点があったら、それが卵を産みつけられた点です。たいがいは一枚の葉にいくつも点があるので、その気になって探せばすぐ見つかります。

 葉を片端から切って捨てたくなりますが、一度狙われると次々生みつけられるので、全部の葉を捨てていくと、植物が弱ってしまいます。針でその点をついて殺しましょう。


▼△▼△▼4・5月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼

【ハーブ】
 秋蒔きのロケットや越年したパセリとうが立ってきて花咲かせます。倒れないように支柱を添えてやってください。これらは花が咲くと終わりです。なるべく長く楽しみたいなら、花芽をどんどん摘んでしまいましょう。
 4月末、八重桜が咲いたら、バジル、セージ、ミントの種を蒔く季節です。
 この時期は挿木にも向いています。

【草花・花壇】
 種蒔きの季節。
 春〜夏咲きの宿根草を植えつけましょう。
 夏〜秋咲き宿根草の植替えはこの季節にやると、花への影響が少なくて済みます。

【鉢花】
 春植え球根の植えつけをしましょう。
 花が咲いているものはせっせと花がらを摘むようにしてください。実ができると花づきが悪くなります。

【観葉植物】
 5月になると植替えや株分けもできます。

【庭木】
 4月なかば沈丁花の花が終わったら、お礼肥を施しましょう。伸びすぎたり、混みすぎていた場合だけ少し剪定しましょう。
 5月なかば木蓮の花が終わったら、直後に強めに剪定しましょう。
 同じ頃ハナミズキや山椒も花が終わるので、追肥しておきます。
 ツツジ、サツキは花が終わるとすぐに次の花芽が用意されます。剪定はまだいくつか花が咲いているくらいの内にしましょう。

【家庭菜園】
 4月末からレタス、唐辛子、キュウリなどの種蒔きシーズンです。




■4月の庭仕事(2)

    ──▼───サイズや移植の好みで変わるタネまき方法─────

 タネまきのやりかたは大きく分けると、直まきと苗床にまくやりかたに分かれます。

●直まき
 直まきとは花壇やプランターなど最終的に育てる場所に直接タネをまくことです。
 大粒のタネや移植を嫌う植物のタネまきにむいています。まく際は成長後の大きさを考えて、苗を植えつける時と同様に、充分な感覚を空けて、まきましょう。

●床まき
 苗床を用意して、そこにタネをまき、移植します。
 一般には大きな箱に土を入れて苗床にしますが、初心者は移植の際に根を傷めて失敗しがちです。
 そこでおすすめしたいのがピートモスで作られた専用床。そのまま丸ごと植えつけられるので、根を傷める心配がありません。


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水をかけると水を含んでふくらみます。ポット上部に穴を開けて、そこにタネをまき、周りのピートをくずすか、土をかけておきます。後は木漏れ日が当たるような半日陰で管理。
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最初の状態
最初の状態の写真
水をかけてふくらんだ状態
水をかけてふくらんだ状態の写真
芽が出た状態
芽が出た状態の写真



■5月の庭仕事

 日本は南北縦長、地域ごとに気候も異なりますね。基本的に情報はわたしの住む東京を基準にして書いています。
 梅雨入り前後の手入れについてお送りします。



    ──▼───梅雨前にムレ対策、枝すかし────

 梅雨入り前後はハーブや草花の世話で一番忙しい時期と言っていいでしょう。

 ローズマリーラベンダーなどの代表的ハーブは夏の暑さに弱く、ムレると茶色く枯れて行きます。
 風通しよくしてやることが大切です。混み合っている部分は枝を切ってやりましょう。

 ついでにその枝で挿木すると、万が一、ムレで大元がダメになったときでも、スペアがあるので安心です。

 春に花を咲かせた草花は一度切り戻しておくと、梅雨対策にもなりますし、形も整います。


──▼─── 病気予防は酢の力で ───────────

 植物の病気はウイルスやカビが原因です。

 5月頃から病気予防のために消毒をしましょう。
 ハーブなどは農薬を使いたくありませんね。そこでお勧めが酢です。木酢液でもいいのですが、これは質のいいものと悪いものの見分けが難しいようですし、もっと身近な食用の酢を使いましょう。

 酢を大匙1杯と液体石鹸をを1、2滴、水500ccで薄めて、スプレーで植物に散布します。葉の表裏にたっぷり流れるくらいにかけてください。
   石鹸は展着剤(薬が葉に長時間残るようにする)の役割と、昆虫の気門を塞いで窒息死させる目的で加えます。  液体石鹸とは洗濯用石鹸の液体タイプのもの、あるいはボディソープやハンドソープのことです。固形石鹸を溶かして使ってもいいのですが、液体のほうが簡単でしょう。
 酢スプレーは病気予防になるだけでなく、若干は虫もしばらく離れますし、根が太く、丈夫に育ちます。

 数日〜1週間に1度散布しましょう。

 ただし、濃度だけは必ず守ってください。既に病気が発生している場合などは倍の大匙2杯入れていいですが、それ以上濃くすると、植物を傷めてしまいます。

 梅雨入り前後は肥料をやるのは避けましょう。カビの栄養の元になりがちです。わたしもハーブを育て始めたばかりの頃、液肥をやった翌日、ハーブが真っ白に粉をかけたようになっていて青ざめました。うどんこ病でした。

 ムレに注意して、肥料を控え、酢を散布していれば、かなり病気は防げます。


▼△▼△▼5・6月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼

【ハーブ】
 チャービル、ロケットチャイブなどは花盛り。花芽を摘むと収穫期を延ばすことができます。「とうが立つ」を参照してください。
 ローズマリーは花が咲き終わりつつある枝を花のすぐ下で切って、花後の剪定をしてください。
 暑さに弱いラベンダーローズマリータイムなどは枯れ枝を切ったり、枝すかしといって混み合っている部分の枝を多少切って減らすなどしてください。
 切ったついでに挿木すれば増やすことができます。
 バジルロケットは6月いっぱい種蒔き期です。

【草花・花壇】
 春に咲いた花の種を採取しましょう。
 秋植え球根は掘り上げて、涼しい場所に保存しておきましょう。
 挿し芽しておくと秋に使えます。

【鉢花】
 切り戻しや植替えの季節です。
 ついでに挿し芽、挿木しましょう。
 
【観葉植物】
 5月、6月は大忙し。
 植替え、株分け、取り木、挿木、種蒔きすべてに向いた季節です。
 
【庭木】
 ツツジ、サツキは花が終わりに近づいたら、剪定しましょう。遅くなると、花芽を切ってしまうことになり、来年、花が楽しめなくなります。かなり思いきって刈込んでも、ぐんぐん新芽が出て、すぐに混み合います。
 椿や山茶花はチャドクガの卵が生み付けられて、次々孵る季節です。死んだ毛虫から浮遊した針からでもアレルギーを起すひとがいます。この季節に椿、山茶花の手入れをする際は必ず手袋をして行ないましょう。
 こまめに観察、白っぽい綿のような卵を早めに見つけて、枝ごと切って、捨てましょう。毛虫になっていたら、まず殺虫剤をかけてから枝の根元から切って、袋に入れて、口をしっかり締めて捨てましょう。一番良い方法は焼却することです。
 山桃は6月中旬から7月に枝すかし剪定と刈込みを行ないましょう。
 山椒は5月中旬から6月にかけて追肥しましょう。




■5月の庭仕事(2)

    ──▼───苗の鉢への植えつけ────

 鉢に植えつける場合には、植えつけたい苗よりひと周り大きな鉢を用意しましょう。一回りとはだいたい1号上の鉢と考えてください。鉢の1号は3cm。たとえば3号鉢の苗を買ったなら、4号鉢に植えつけます。
 ポリポットに入った苗はそのままにしておくと、通気性も悪く、また、すぐ根詰まりしてしまうため、弱ってきます。できるだけ早く適したサイズの鉢に植え替えてましょう。
1)鉢やプランターに植えつける場合は、適当なサイズに切った鉢底ネットを鉢底の穴をふさぐように敷きます。このネットは虫を防ぐ意味があります。寒冷沙などを切ったものを使ってもかまいません。

2)次に従来の園芸書では「排水をよくするために鉢底にゴロ土やゴロ石を」とあります。しかし、最近は「ゴロ土を入れないほうがよく育つ」と書かれている園芸書も出てきました。わたしも少なくともゴロ石は根が張れる範囲を狭くしているだけだと感じるので、入れる場合にもゴロ土にしています。特に小さな、3、4号程度の鉢の場合には一切ゴロ石などを入れていません。

3)苗を鉢の中央に置いて、根鉢の上部の高さを見ます。鉢の上端から2〜3cm下に根鉢の上部が来るように、鉢に土を入れて、高さを調節します。  ※鉢の上端と土が同じ高さになると、水をやるときに土の上にあふれた水が鉢の外に流れ出てしまいます。土の上に多少は水をためられるようにしておきましょう。これを「水しろ」と言います。

4)ポリポットを斜めにして、苗の株元を持ち、ポリポットからそっと抜きます。
 軽くひっぱってみて動きがない場合は、ポリポットを軽く外からもんだり、ポリポットと土の間に割り箸か、穴掘りツールなどを入れて、ポリポットに張りついている土を崩してから抜きましょう。
  

5)ポリポットから抜いたら、根鉢の状態を観察します。根が外にびっしりと回り、固くかたまっている場合は、そのまま植えても根が伸びにくくなっているので、根を傷めないように軽く根鉢をほぐします。

6)先に用意した鉢の土の中央に苗を置いたら、土入れを使って、根鉢と鉢の間に土を入れます。ある程度土を入れたところで、軽く、とんとんと鉢底で地面を叩くとと、ぐっと土の高さが低くなります。そこで、さらに土を加えます。さらに軽く指で押して、土を落ち着かせ、まだ土が足りなかったら、追加します。あまりギューギューと土を押し込みすぎると、土が崩れて、排水性が悪くなりますから、ほどほどに。
 最終的に根鉢と同じか、数mm低いくらいの位置まで土を入れましょう。株元より周囲の土が高くならないように注意してください。
 植えつけ終えたら、水をたっぷりとやっておきましょう。

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■5月の庭仕事(3)

    ──▼─── 苗の庭への植えつけ ────

  花壇など地植えにする場合も、鉢に植えつける場合と要領はほぼ同じです。

1)地面に根鉢よりひとまわり大きな穴を開けておきます。苗を置いてみて、根鉢の上部の高さが周囲の土と同じ高さか、数mm高くなるくらいの深さに調節します。

2)鉢に植えつけるときの要領で、ポリポットから苗を取り出して、穴の中央に置き、根鉢の周囲に土入れで土を入れていきます。

3)軽く指で押して、土を落ち着かせ、まだ土が足りなかったら、追加します。特に地植えの場合は、株元が周囲より気持ち高くなるくらいに植えつけてください。株元に水が滞留する状態は植物によくありません。
 植えつけ終えたら、水をたっぷりとやっておきましょう。
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■6月の庭仕事

 ほとんどの地域で雨の季節がまだ続いています。
 虫や病気との戦いはこれから本番です。


──▼── 雨に気を取られて、水やり忘れに注意! ───

 この時期、地植えはほとんど水やりしなくても済みますが、雨でベランダに出ずにいると、屋根の下の鉢やプランターが水不足になっていたりします。気をつけましょう。

 ヨーロッパ系のハーブの多くは過湿を嫌うので、ハーブと言えば乾き気味にと思いこんでしまいがちです。

 けれどむしろ乾燥を嫌うハーブもいろいろあります。

 たとえばレモンバームは水が不足すると、香りが悪くなります。良い香りを楽しむなら水を切らさず、また大きくなり過ぎない内に摘んで、生の葉でお茶を楽しみましょう。  昔から鬱に効くハーブとされており、ブルーな気分になりがちな梅雨に最適なハーブティになります。

 ミントチャイブも水を切らさないように注意しましょう。
 ミントの中でも特にウォーターミントは水を好みます。丈夫なので、水を切らしてもすぐには枯れませんが、水を絶やさないほうが瑞々しい葉を楽しめます。朝晩に水やりしたい、水やり大好き園芸家にはぴったいのハーブです。


──▼─── なめくじ退治には銅とビール ───────

 梅雨になると、木々の葉にテカッと光っているところが目につく。なめくじの仕業。新芽や蕾が大好きで、バジルなども新芽が出る端から食べてしまいます。

 大事な植物だけを守るには苗の根元に銅線を置いておくとやってこないそうです。

 なめくじが増えて困っているときは、誘い出してやっつけましょう。
 瓶の蓋などにビールを入れて、地面に置いておくと、ビール好きのなめくじがやってきて中で溺れ死にます。
 こちらは何度か試しました。不思議なんですけど、雨の当たらぬところに置いて、数日後に見ると、いっぱいなめくじが死んでいます。


──▼── 姿は見えねど糞だけ…ヨトウムシにご用心 ──

 葉をばりばり食べられ、葉の上には虫の糞もいっぱいあるのに、犯人を探しても見つからない……そんな経験をしているひとも多いのではないでしょうか?

 犯人はヨトウムシです。夜盗虫という名前の通り、昼間は土の中で眠っていて、夜になると現れて、葉を食べてしまいます。一晩で小さなハーブを丸坊主にしてしまうことも少なくありません。

 対策は夜回り。夜9時過ぎに懐中電灯で葉を下から照らしてみてください。葉の裏に隠れた虫が見つかります。割り箸などではさんで取り、踏んづけーるなどして始末しましょう。


──▼─── まめな点検で病気対策 ──────────

 この時期、雨で庭に出ずにいて、数日後に見ると、いきなり病気が庭中に広まっていることがあります。
 まめによく観察して、病気の兆候を見つけたら、すぐ対処することが大切です。

 病気の葉を取り除き、酢スプレーで殺菌してください。


 植物の病気はウイルスやカビによるもの。病気の葉を触った手で他の葉に触れると、病気を広めることになります。病気の葉に触れた手で他の植物に触れないようにしましょう。

 雨の季節、葉の裏に泥はねすることが多いですね。これがしばしば病気の発端となります。
 泥はねしないようにマルチを施しておくと安心です。


▼△▼6・7月の庭仕事カレンダー▼△▼

【ハーブ】
 蒸れに弱いラベンダーローズマリータイムなどは引き続き、枯れ枝を切ったり、枝すかしといって混み合っている部分の枝を多少切って減らすなどしてください。

 7月上旬くらいまでは切ったついでに挿木すれば増やすことができます。

 7月半ばからは特に暑さに弱いもの、たとえばイングリッシュラベンダーなどは御簾などで日よけをしてあげてください。  また地温が上がったり、雑草の発生を防ぐためにマルチを施すとよいでしょう。


【草花・花壇】
 春に咲いた花の種を採取しましょう。
 秋植え球根は掘り上げて、涼しい場所に保存しておきましょう。
 挿し芽しておくと秋に使えます。

【鉢花】
 秋植えの球根は掘り上げて、保存しておきましょう。
 日よけやマルチなどで暑さ対策もしておいてください。

【観葉植物】
 8月いっぱいまで植替え、株分け、取り木、挿木、種蒔きすべてが行えます。
 強すぎる日差しには気をつけて、日よけをほどこしましょう。

【庭木】
 株元にマルチを施して、温度上昇や乾燥から守ってあげましょう。
 ゴールドクレストなどコニファー類は新芽が飛び出てきたら、芽を摘んで、樹形を整えます。金属が嫌いで色が変わるので、手で摘むか、セラミックのはさみを使いましょう。

【家庭菜園】
 ブルーベリーやクランベリーは株元から強く伸びている枝の先端部を切って、来年、実をつける傍枝を伸ばすようにしましょう。切った枝で挿し木して増やすこともできます。
 7月はレタス、ブロッコリー、キャベツ、ニンジンの種蒔き時期です。



■6月の庭仕事(2)

──▼── こまめが園芸のコツ ───────────────

 自然相手には「暇なときにまとめて…」が通用しません。それぞれのタイミングを逃すと、後からでは取り返しがつきません。
 年初から忙しかったわたしは種蒔きもしそこねてしまいました。バジルやフェンネルなども春の終わりにあわてて苗で購入しました。まあ、昨年実をつけた植物はこぼれ種から芽が出たので、イタリアンパセリや三つ葉、ロケット、唐辛子などは勝手に生えてきてくれましたが……。
 しかし、これからのシーズンはどうしても庭から目が離せません。梅雨とその前後は植物の天敵の活躍シーズンです。


──▼─── 防虫はいま! ─────────────────

 害虫が増えるときです。食べ盛りの虫たちはあっという間に植物を食べつくします。
 わたしも春、レモンバームに虫がついたことに気づいたのですが、夕刻の薬散布や夜の虫チェックをできずに、次に見たときには丸坊主にされていました。長年、香り高いフレッシュハーブティーを提供してきてくれたお気に入りだったのに…いま、復活してくれるかどうか…ドキドキ見守っているところです。
 この時期にしっかり防虫しておかないと、一夏中、害虫に泣かされます。わたしは以前、百日紅についたアブラムシを「別に食害もないし…」とほっておいたために、大繁殖してしまいました。その後、何度も百日紅を丸坊主に刈り込んでも退治できず、何年もに渡って戦うはめになったことがあります。
 早めに退治して、植物を弱らせない、虫を繁殖させないことが大切です。


──▼─── 夜廻りで無農薬殺虫 ──────────────

 ハーブを育てていると、できるだけ農薬は使いたくないと思ってしまいます。
 全く薬を用いない方法としては夜廻りによるフンヅケール。
 多くの虫は昼間は隠れていて、夕刻から活躍し始めます。中でも、しばしばあっという間に植物を丸裸にしてしまうヨトウムシ(夜盗虫)は名前どおり、昼は土の中などで寝ていて、夜も遅くになってから登場します。
 そこで夜暗くなってから、懐中電灯片手に、大切な植物をチェックにいきましょう。葉を懐中電灯で下から照らすと、葉の裏に隠れている虫の影が浮かび上がります。割り箸などで虫を捕まえ、ふんづけるなどして、昇天させます。
アブラムシやダニなど小さな虫の場合には、セロテープの粘着面を外側にしてつけた割り箸で捕まえます。


──▼─── ニンニクスプレーで虫を忌避 ──────────

 手で捕まえる方法は羽を持った虫には通用しません。また、害にあってから、つかまえることになるので、後手にまわった手段です。どんな薬剤も使わないで育てるのは理想ですが、なかなかそうはいきません。
 そこで次善の策はいわゆる薬を使わず、身近な、口に入れても平気なものを薬として使う方法です。
 誰でも手軽に使える防虫薬として、お勧めしたいのがニンニクスプレーです。
 出汁や茶用に売っている紙製のバッグ、あるいはコーヒーフィルターに、すりおろしたニンニクを小匙1杯入れ、上から水を100ccかけて、こします。こうしてできたニンニク水に水を400cc加えて薄め、石鹸(ハンドソープなど)を1、2滴加え、スプレーで植物に散布します。
 数日に一度散布すると、かなり虫が防げます。特になかなか薬が効かなくて、やっかいな虫、ハダニに効果があります。



■7月の庭仕事

 ピーカンに晴れた、暑い日々が始まります。

 乾燥気味になると発生しやすいハダニ対策と、夏休みに気になる留守中の水やり方法、旬のバジルの手入れを紹介しましょう。


──▼── なかなか気づきにくいハダニの被害 ─────

  梅雨が終わり、夏になると、一気にハダニ(葉ダニ)が増え始めます。

 ハダニによる被害は最初はわずかで徐々に進むため、気づくのが遅れがちです。被害についてまず知っておきましょう。

 ハダニは鋭い口針を持っていて、それを葉に刺して、汁を吸って生きています。青虫などのように葉を直接食べないため、ぱっと見には被害がわかりません。

 ただよくよくこまめに植物を観察していると、葉の表面に針でつついたような白い点に気づきます。さらにハダニが小さい場合なんとはなしに葉の色が薄く、白っぽくなっていくように感じられます。
 そう思ったら葉の裏を調べてください。
 赤い点があったら、それは代表的なハダニ、カンザワハダニです。
 大きくなってくると、クモのような姿がわかりますが、小さいときはまるで針でつついた程度の小ささで、虫眼鏡でも使わないと気づかないことも少なくありません。

 「もしかしたら…」と思ったら、葉の裏を指で強くこすってみましょう。赤い線がさーっとついたら、まちがいなくハダニです。

 なお黄緑色のハダニもいます。こちらはちょっと見つけにくいですが、被害状況は同じなので、よく観察して見つけましょう。


──▼─── 殺虫剤が効かないハダニ ─────────

 ハダニ(葉ダニ)は昆虫ではありません。エビやフナムシなどと同じ節足動物で、クモと同類です。
 そのため一般的な殺虫剤は効きません。通常は殺ダニ剤を使いますが、薬に慣れやすく、同じ薬を使っていると、すぐに効果がなくなります。

 薬に頼らず、地道な方法で防除しましょう


 ハダニが一番好むものは乾燥、苦手なものは水です。

 まず予防。水やりに際して、葉の裏にも水をかけるようにしてください。
 ただし昼近くに水やりする場合は葉にたまった水がレンズの役割をして、葉が焼けるので、葉にかからないように水をやらなければなりません。
 ハダニ防除のためには早朝に水やりしましょう。それが無理ならときどき夕方、葉の裏に水をかけるといいでしょう。

 逆さにしても使えるタイプのスプレーで水をかけると、既にハダニが発生している場合にも効果的です。流しても、すぐ元の植物に戻りそうですが、落ちたとき地面に少し水がたまっていただけで溺れ死んでしまいます。

 鉢に大量発生した場合、バケツに水を張って、その中に鉢ごとつけてください。ハダニはプカプカ浮いてきて、簡単に溺れ死にます。


──▼──── 留守中の水やり ────────────

 夏休み、帰省や旅行で留守にすることが多い季節ですね。
 同時に水やりが欠かせない時期でもあります。

 留守中の水やりは誰しも悩むところです。

 地植えの場合は2、3日なら出かける日の朝、たっぷり水をやっておけば、だいたい大丈夫です。
 ただ旅行前には植替えや挿木は避けましょう。根付かない内は簡単に水切れで参ってしまいます。

 鉢やプランターの場合、特にエリカなどのように水切れに弱い植物の場合には2、3日でも夏は水なしではダメになってしまいます。

 しかしバケツなどに水を張って鉢をつけていくと、根腐れしがちです。

 留守中の専用水やり道具が売っています。これらは土が乾くとその分だけ水を送ってくれるので、根腐れの心配があまりありません。
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 ひとつのタイプは水を入れた器から出ているフェルトなどを土に挿しこんでおくと、フェルトを伝わって水が送られるタイプ。


簡易水やり道具図  もうひとつは溝のある三角錐のプラスチックで、水を入れたペットボトルの口にこれをつけて、土に逆さにして挿しておくと、必要な分だけ水が送られるタイプ。200〜300円で売っています。

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──▼─── バジルの手入れ ─────────────

 スパゲティもさりながら、カプレーゼ(バジルとトマトとチーズのサラダ。クリックすればレシピが開きます)でもバジルは大活躍。

 イタリアではバジルは小さ目の苗を元から抜いて、ほうれん草のように売っているようです。

 でも広くない庭では1本とか2本のバジルで夏中、食べたいですよね。
 バジルのカット方法説明図
バジルは両側に茎が出た部分のすぐ上でカットすると、両側の茎が伸びて、こんもりした苗になってくれます。

 また8月になると蕾をつけます。長く葉を食べたいなら、蕾は元から切ってしまいましょう。


▼△▼6・7月の庭仕事カレンダー▼△▼

【ハーブ】
 蒸れに弱いラベンダーローズマリータイムなどは引き続き、枯れ枝を切ったり、枝すかしといって混み合っている部分の枝を多少切って減らすなどしてください。

 7月上旬くらいまでは切ったついでに挿木すれば増やすことができます。

 7月半ばからは特に暑さに弱いもの、たとえばイングリッシュラベンダーなどは御簾などで日よけをしてあげてください。  また地温が上がったり、雑草の発生を防ぐためにマルチを施すとよいでしょう。


【草花・花壇】
 春に咲いた花の種を採取しましょう。
 秋植え球根は掘り上げて、涼しい場所に保存しておきましょう。
 挿し芽しておくと秋に使えます。

【鉢花】
 秋植えの球根は掘り上げて、保存しておきましょう。
 日よけやマルチなどで暑さ対策もしておいてください。

【観葉植物】
 8月いっぱいまで植替え、株分け、取り木、挿木、種蒔きすべてが行えます。
 強すぎる日差しには気をつけて、日よけをほどこしましょう。

【庭木】
 株元にマルチを施して、温度上昇や乾燥から守ってあげましょう。
 ゴールドクレストなどコニファー類は新芽が飛び出てきたら、芽を摘んで、樹形を整えます。金属が嫌いで色が変わるので、手で摘むか、セラミックのはさみを使いましょう。

【家庭菜園】
 7月はレタス、ブロッコリー、キャベツ、ニンジンの種蒔き時期です。

■7月の庭仕事(2)

 ピーカンに晴れた、暑い日々が始まります。

 病気や虫も多い時期です。ちょっと目を離すと、せっかく育った植物がいきなり全滅したりします。お気をつけください。


──▼── 病害虫早期発見は観察から ─────

 不慣れな内は病気や虫に害されていても気づかないことがままあります。わたしもガーデニングを始めたばかりの頃は、植物が弱ってくると、すぐ「水をやらなきゃ!」の一点張りでした。また「栄養が足りないのかしら?」と肥料をせっせとやるひとも多いようです。しかし、たとえば根づまりしているときには水をやると逆効果で、根腐れしてしまうこともあります。弱っている植物に肥料をやると、逆に疲れさせてしまいます。

 植物を上手に育てるコツはまめな観察。毎日眺めていると、ちょっとした変化にも気づくようになります。また変化が成長への変化なのか、病害虫による変化なのかも、経験を積んでいくとわかってきます。


──▼─── 害虫の見分け方 ─────────

 虫の食害で葉の色が変わる場合もありますが、少なくとも、色が変わらずに葉や茎に穴が空いた場合は、まず虫の害だと思ってまちがいないでしょう。

 枝だけ残して葉が完全になくなったり、葉に大きな穴が空くなど、被害が大きい場合は青虫系かバッタ、コガネムシの仕業です。昼間、葉を裏返して探しても探しても虫が見つからない場合は、ヨトウムシなどのように昼間は土に潜っていて、夜、活躍する虫かもしれません。

 葉に誰かがいたずらしたように、でたらめに線をひっぱったような柄が描かれた場合はハモグリバエの仕業です。

 葉の色が漠然と薄くなってきているような気がするときに、よーくよく見ると、細かい白い点ができている場合があります。葉を裏返してみて、赤い点が動いていたら、葉ダニの仕業です。

 葉が丸まってきた場合は、たいがいハマキムシかアブラムシが中に潜んでいます。

 食用ハーブで作られた、虫を退治してくれる薬もあります。
【ガーデニングショップ:肥料・農薬・土】


──▼──── 病気の見つけ方 ────────────

 葉に白い粉が吹いた状態になったら、うどんこ病。これはカビです。

 葉に黒や茶色、白の点ができたり、葉の色が薄くなっていく場合には、病気のほか、肥料不足や過剰、日焼けや日光不足、高温や低温による温度障害などが考えられます。

 なんとはなしにしおれて、弱っていく場合には水不足と水のやりすぎが考えられます。

 写真入りでわかりやすい病害虫の防除法の本もあります。  【Oh!けいのGarden書店】

▼△▼7・8月の庭仕事カレンダー▼△▼

【ハーブ】
 日当たりが強すぎる場所は日よけの工夫や地面の乾燥を防ぐマルチなどを行いましょう。この時期は刈ったハーブを車内に下げておくと、手早くドライハーブが作れます。
 バジルは少し思い切って刈り込んだほうが蒸れずによいでしょう。
 ほとんどのハーブの収穫シーズンです。ハーブを使った料理のレシピを参考にいろいろ料理に使ってみてください。

【草花・花壇】
 ペチュニア、サルビア、ダリアなどはいまの時期に切り戻しして枝数を増やすと、秋にたくさんの花が楽しめます。

【鉢花】
 ベランダなどでは日当たりが良すぎて、土の温度が上がりすぎたり、乾きすぎたりしがちです。日よけの御簾を立てたり、土の上にバークを敷くなどして、対策を施しましょう。

【観葉植物】
 植替え、株分け、取り木、挿木、種蒔きすべてに向いた季節です。

【庭木】
 常緑樹や百日紅などの挿し木に向いた季節です。

【家庭菜園】
 レタスやインゲンの種まきの時期です。



■7月の庭仕事(3)

 ピーカンに晴れた、暑い日々が始まります。

 病気や虫も多い時期です。ちょっと目を離すと、せっかく育った植物がいきなり全滅したりします。お気をつけください。


──▼── 植物のための旅行準備〜給水道具〜 ─────

 夏は帰省や避暑などで長期間、家を空けるかたも多いのではないでしょうか? その間の植物のこと、どうなさってますか?
 庭の場合には水やりしなくても大半の植物は枯れませんが、鉢植えの場合には何日も家を空けるとなると、その間に晴れ間が続けば枯れてしまいます。
 留守中の水やり道具はいろいろあるので、それらを使えば、だいたいの植物は大丈夫です。

 留守中の給水用具など水やり道具は
園芸専門店ブルーミングスケープの水やりコーナー


──▼─── 植物のための旅行準備〜刈り込み〜 ───────

 植物の状態によっては、旅行前にあらかじめ手当てしておく必要があります。  一日でも水をやらないとしおれてくる植物、朝だけでなく夕方も水やりしないとくたっとしてしまう植物はありませんか?
 それらの植物は既に根づまりしているか、土や鉢がその植物にとっては乾きやすすぎる素材ではないでしょうか? 乾きやすいため、水やり道具を使っても足りなくなる恐れがあります。
 最も適切な方法は一回り大きな鉢への植え替えや、土や鉢の取替えで、どちらにしても植え替えることになりますが、熱帯植物以外の場合には植え替えには少々時期が悪すぎます。植え替えは基本的に春か秋、盛夏は植え替えのショックで枯らす危険があります。  そこで第二の手立ては刈り込み。少し切り詰めることにより、葉からの蒸散が減り、根にかかる負担を減らせます。多くのハーブ類は大きくなっているものなら半分くらいまで刈り込んでも大丈夫です。

 ガーデニング用はさみはは
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──▼──── 植物のための旅行準備〜日避けなど〜 ─────────

 照り返しの強いテラスなどは留守するときに限らず、日除けなどしてあげましょう。
たとえば寒冷沙などの遮光ネット。支柱を立ててそこにかけるか、マンションなどの規約で許されるなら手すりのところに張るといいでしょう。

遮光防寒・保護資材は
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 また植物の根元にバークなどでマルチすることでも土の表面からの蒸発を防ぐことができます。

 バークは
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■8月の庭仕事

    ─▼── 水切れさせたときはまず日陰へ ────

 強い日差しの日が続く季節、一度水をやりそこねただけで、鉢植えの花は簡単にぐったりとしてしまいます。

 そうは言っても、忙しくて、つい、うっかり…ということはあるもの。
 気づいたらしおれかかっていた場合、それが昼間なら、気温が高いときにいきなり水をやると、かえって植物に負担をかけてしまいます。

 まず日陰に移動してから、水をやりましょう。
 枝がぐったりと下を向いてしまったような場合は、鉢ごとバケツなどの水に頭のところまでつけてしまてしばらく置いておくと、元気になります。


    ──▼── ベランダの暑さ対策 ────────

 ベランダはコンクリートの照り返しがあるため、とても暑くなりがちです。

 すのこなどの上に鉢を載せると、多少緩和されます。表面が平らな場所の上に載せると鉢の下に虫が集まるので、必ず鉢底の風通しが良い環境を作りましょう。

 育てている植物が多少日陰気味でも大丈夫な植物なら、夏の間は葦簾を立てたり、寒冷沙をかけるなどして、光を多少さえぎってやるとよいでしょう。

 またマルチを施すと、地熱が上がるのを防げるばかりでなく、雑草防止にもなります。マルチにはバークが見た目も美しいのでお勧めです。


    ──▼── 暑い太陽で古くなった土を再生 ───

 植えてあった植物が枯れた後の鉢やプランターの土はそのままでは新しい植物を植えるには適していません。手入れして再生してやりましょう。土の再生には夏の太陽か、冬の寒さを利用します。

 2000年12月に冬の寒さを利用した土の再生方法をお届けしました。そのやりかたでは寒さを利用して消毒しましたが、そのまま消毒方法を夏の太陽光線に変えることもできます。

1)まずビニールシートの上で鉢などを逆さまにして中身を出したら、鉢底の軽石などを取り除きます。土を崩しながら残った根など目立つゴミも取り除きましょう。さらにふるいにかけて残った石や根などをより分けます。

2)この土とゴロ石は別に分けて、それぞれ寒冷沙を敷いたプラスチックの浅いカゴなど水はけの良い器に浅めに広げるようにして入れましょう。

3)土の上から熱湯を全体に、下から湯が流れ出るくらいにたっぷりとかけて、害虫駆除と殺菌をします。



4)湿った土をビニール袋に入れて口を結ぶなどして、しっかりと閉じます。この際、土の量はビニール袋の容量の1/3量くらいまでに留めて、余裕を持たせておいてください。  この袋をベランダのコンクリートの床に平らに置いて、直射日光に数日当てて、消毒、病気や害虫を駆除します。
 土が含んだ水分が蒸気となって消毒するので、土を湿らせておくことが大切です。

5)古い土2〜3割、新しい土7〜8割の割合で混ぜて、また再利用しましょう。
ハーブ用土として使うなら、土をアルカリ性に傾けてくれ、カルシウムも加えてくれる苦土石灰を混ぜ込みましょう。
 つつじやエリカ、クランベリーなど酸性土を好む植物の場合は苦土石灰は入れないでください。

 なお、季節外に土が空いた場合は1)のふるいにかけるところだけやって、乾いた土をポリ袋などに入れて、真夏か真冬まで保存しておきましょう。



■8月の庭仕事(3)

    ─▼── 台風対策 ───────────────

 まず樹木。
 台風で折れた枝が飛んだりすると大きな事故につながります。
 台風が近づく前に、込み合った枝は間引いておきましょう。その際にはよく観察して枯れた枝や曲がった枝なども取り除いておきます。
 植えてまもなく、まだ定着してない木がある場合は添え木をしておきましょう。

 鉢やプランターも風で飛ばないかチェックしましょう。
 ハンギングバスケットや高い棚の上に置いてある鉢はおろしておきます。

 庭の背の高い草花などは雨風で倒れないよう、支柱を添えてやりましょう。支柱ごと飛ばないように、支柱はしっかり深めに地面に挿します。

 台風の前後はばたばたして植物をよく見てやれなくなりがちです。事前によく観察して、枯れた葉や枯れた草などは片づけておくようにしましょう。さもないと、それらが原因で病気になりがちです。



■9月の庭仕事(1)

    ──▼── 種蒔きは秋がお勧め ────────

 虫は新芽が好きです。せっかく種蒔きしたのに、発芽したての芽が一晩で虫に全部食われてしまうといったこともままあります。

 そのため虫が多い春は虫との戦いが大変です。広い庭にたっぷり種を蒔いて、どれかが育てばいいというならまだしも、ベランダなど限られた場所の中で蒔いた種はなかなか大きく育つところまで無事に虫にやられずにいることが難しいでしょう。
 その点、秋は虫も少なくなり、特に新芽が好きな虫が少なめなので、大きく育てやすいので、秋蒔きできる種は秋に蒔くのがお勧めです。

種蒔きは「春は遅めに、秋は早めに」と言われています。要するに寒いより、暖かいほうがいいということ。
 9月になったら、早速種蒔きを始めましょう。


    ──▼── 種蒔き用土の準備 ───

 浅めの箱などを苗床にして、そこに種を蒔き、発芽後に移植する場合と、花壇などに直蒔きする場合では準備が異なります。

 まず苗床の場合。

 種を蒔いた後、しばらく待って、やっと芽が出てきて喜んでいると、次々ダメになっていく……ありがちなことですが、その原因のひとつが細菌です。発芽したての植物の赤ちゃんはまだまだ弱く、ちょっとした細菌にも簡単にやられてしまいます。それを防ぐためにも新しい土を使ったほうが安全です。

 売っている土の中にはさまざまな肥料が含まれたものもあります。種にとっては栄養過多で消化不良を起しがちなので、ごく普通の赤土がお勧めです。粒が大きなものから小さいものまでありますが、種蒔き用なら小さめの粒を選びましょう。

 花壇などに直まきする場合。

 そのまま育てるので、肥料を入れて耕しておきます。腐葉土などの緩効性の肥料を選びましょう。


    ──▼── 発芽までの手助け ───

 種には充分な水が必要です。でも蒔いてから水分が多すぎる状態が続くと、空気不足になります。また日の光が必要ですが、直射日光の当たる場所では水不足になりがちです。

 種の袋に「向日性」と書かれた、特に日を好む種の場合は上からかける土は少なめにしましょう。

 基本的には苗床は半日陰に置きます。
 直まきの場合は、寒冷沙をかけるとよいでしょう。

 水やりの際には種が流れないように注意してください。苗床を使った場合には水を張った器に苗床をつけて、下から水を吸わせるのもよいでしょう。
 各ハーブの種蒔きのコツはハーブ図鑑をごらんください。

    ──▼── 種はけちるべからず ───

 初めて種を買ったときは1袋に入った数の多さに驚きました。
 狭い庭なので、1本の苗があればいいのだから、発芽率を考えても種は5〜10粒もあればいいのに……と思ったのです。

 当初は卵パックに爪楊枝で穴を空けて、1箇所に種1粒を蒔いていました。「間引きも不要だし、これはラク!」と思っていました。
 ところがどうもうまく成長してくれません。ヒョロヒョロ弱くなりがちでした。

 実はたくさん種を蒔くことと、間引きは大事な作業だったのです。
 たくさん発芽した新芽は互いに支えあっています。これによって、植物はしゃんとしてきます。
 間引きしないと、混み合い過ぎでなかなか成長しません。同じように種を蒔いて、1個所は間引きして、別の場所では間引きせずにほおっておいたところ、間引きしたほうは倍そのまた倍といった感じで、間引きしてない苗とは比べ物にならない速さで成長していきました。

 大きな種はまだいいのですが、小さな種のものは必ず数粒蒔いて、葉が互いに触れ合いそうになったら間引く、また成長して葉が触れそうになったら間引くを繰り返していきましょう。本葉が出始めたら、かなりしっかりしてきます。そのあたりになったら、パセリのような移植を嫌う植物以外なら、掘り返して、それぞれの場所に植え替えなおしてもいいでしょう。

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▼△▼9月・10月の庭仕事カレンダー▼△▼

 季節はわたしの住む東京を基準に書いています。

【ハーブ】
 9月の種蒔きに向いたハーブはウォータークレソン、カモミール、コリアンダー、セージ、タイム、チャービル、ディル、パセリ、フェンネル、レモンバーム、ローズマリーなどです。
 またウォータークレソンやセージ、レモンバームの挿木シーズンでもあります。ミントは真冬以外いつでも挿木可能です。
 10月になると、バジルが枯れ始めます。これは日本の寒さに耐えられないせいで、そのために日本のハーブの本ではバジルは1年草扱いされています。冬を越えさせたい場合は室内に取り入れましょう。
 レモンバームやフェンネルは数年に一度株分けして株を更新したほうが元気になります。9月10月の内に行いましょう。

【草花・花壇】
 秋蒔きの種の蒔き時です。
 パンジーは9月上旬までに蒔きましょう。
 スイトピーや金魚草は少し遅めがいいでしょう。
 植替え、株分け、挿し芽もいまが向いています。
 大きく伸びた植物は台風のときに倒れないように、添え木しましょう。

【鉢花】
 シクラメンの植替えはいまの内に行いましょう。
 10月に入ったら秋植え球根の植えつけも行えます。

【観葉植物】
 10月になったら、寒さに弱いものから室内に取りこんでいく必要があります。
 9月いっぱいに植替え、株分け、取り木、挿木、種蒔きを行いましょう。

【庭木】
 台風に備えて、枯れ枝などは剪定して、まだ充分根付いてない木は支柱を立てて補強しておきましょう。
 沈丁花、木蓮、ムクゲ、山椒などは9月に追肥しましょう。

【家庭菜園】
 ほうれん草や小松菜、ラディッシュなどの種蒔きシーズンです。
 アサツキやワケギは10月上旬までに植えつけましょう。





■9月の庭仕事(2)

    ──▼── 園芸シーズン到来! ────────

  ギンギラ太陽にさらされていた東京も、少々涼しくなってきました。園芸シーズン到来です。東北や北海道など寒冷地のみなさんは、かなり冷え込んできているようですので、秋の庭仕事をお急ぎください。
 種まき、苗や球根の植えつけ、挿し木…秋には楽しみな庭仕事がたくさんあります。
 種まきが苦手な方、種を蒔いても、虫にやられたり、病気でだめにしてしまってうまく育てられないというかたは秋蒔きをおすすめします。


    ──▼── 挿し木は楽しい ──────────

 挿し木はクローンのようなもの。元の個体とほぼ同じ性質のものを増やせます。

 個体差が大きい香りを楽しむハーブの場合、特に種まきよりも挿し木をおすすめします。
 中でもミントは絶対に挿し木。ミントは交雑を繰り返してきたため、種で蒔くと、「あれ?」というものが育つことがあります。たとえばペパーミントの種を蒔いたのに、スペアミントっぽいものが育ったり……。

 特に良い香りがして気に入っているハーブ苗や、花色に幅のある植物で気に入る花色の苗があったら、その苗から枝を切って、挿し木で増やしましょう。

 挿し木のもうひとつの利点は、しばしば種よりも世話がラクで失敗が少ないことです。種の場合、まず芽が出るまでの水やりや日当たりで失敗しがち。芽が出れば出たで、今度は虫との戦いが始まります。その点、挿し木は根が出るまでは室内でも管理できる方法もありますし、また、最初からある程度の大きさがあるので虫にもあまり食われずに済みます。
 ぜひ、この秋は挿し木にチャレンジしてください。


    ──▼── 苗の著作権 ────────────

 挿し木は楽しいですが、法的に禁じられることもあります。
 本や雑誌、メールマガジンの無断転載などを禁じる著作権のように、実は苗にも生産者の権利があります。著作権でもしばしば「商売でなければいいでしょ?」と勘違いしているひとがいますが、たとえ販売などで利益を上げなくても、個人の趣味であっても、勝手に他人の作ったものを複製して頒布してはいけません。
 苗も登録品種の場合には、個人で楽しむだけなら購入した苗を株分けしたり、挿し木で増やしてもかまいませんが、増やした苗を無料であっても他人に譲ってはいけません。またハーブガーデンなどから勝手に枝を折って持ち帰ったりして挿し木などで増やすことも許されません。「花泥棒に悪くない」は大いなる勘違い。苦労して、新しい品種を作り出したひとの権利は尊重して、必ずきちんと苗を購入して、育ててくださいね。
 もちろん著作権切れの書物や楽曲があるように、苗も特に権利者がない品種なら、増やしたり、分けてもかまいません。


    ──▼── 失敗が少ない水挿し ────────

  挿し木の中でも、特に簡単で、初心者にもおすすめできるのが水挿しです。切った枝を水を入れたコップなどで根が出るまで育てます。

 水挿しに向いた植物としては、ミント、マジョラム、セージ、タイム、レモンバーム、ナスタチウム、セボリー、クレソン、フレンチタラゴンなど多くのハーブ、そしてポトスやパキラなどの観葉植物、その他ゼラニウムやデュランタ、バラなどがあげられます。

 では水挿しの具体的なやりかたを説明しましょう。

1)まず空き瓶や花瓶などを用意しましょう。ジャムの瓶のように口が広いものを選んでください。口が狭いと、根が出た後、瓶から取り出す際に口の部分で根を傷めてしまいます。高さ15cm以上のものがよいでしょう。
 瓶に水を入れてから、口をアルミホイルでおおい、挿し木の数だけ、アルミホイルに菜箸などで穴を開けます。
2)挿し木したい植物の枝を10cmほどの長さに切ります。先端の新芽が出ている部分を使ってください。
 バラのように枝も太く、大きなものは15〜20cmくらいの長さがいいでしょう。
 切り口は水をあげやすいように斜めに切ってください。
3)葉は先端のほうの数センチ分(ミントなら2、3枚、ローズマリーなら10枚くらい)だけ残して、下のほうの葉はすべて取り除きます。
4)アルミホイルの穴に挿し木を挿して、半日陰に置いておきます。
 水はできれば毎日、特に最初の2、3日は1日数回でも取り替えて上げてください。アルミホイルごと植物を持ち上げれば、植物を傷めずに、水替えができます。
 根腐れ防止剤(珪酸白土、商品名ミリオンなど)をひとかけ水に入れておくと、水の取替えの間が空いても心配ありません。
5)ミントなど早いものなら数日から1週間、ローズマリーなど時間がかかるものは1ヶ月ほどで根が出ます。根が2本以上、数cm伸びたら、清潔な土を入れた鉢に植えて、発根までの日数と同じ日数、つまりミントなら1週間、ローズマリーなら1ヶ月くらいは半日陰で管理しましょう。


▼△▼9月・10月の庭仕事カレンダー▼△▼

 季節はわたしの住む東京を基準に書いています。

【ハーブ】
 ロケットやパセリ、クレソンなど、虫に食われやすく、秋蒔きできるハーブはこの時期に種蒔きや挿し木しましょう。

【草花・花壇】
 9月中旬からはクリスマスローズなど秋蒔きの草花の種まきシーズンです。
 春植え球根は掘り上げて保存し、秋植え球根の植え付けをしましょう。
 挿し木や株分けもいまの内にしておいて、冬に備えてください。

【鉢花】
 カーネーションやマーガレットなどは苗の更新のため、挿し木しましょう。

【観葉植物】
 寒さに弱いものから順次、室内に取り込みましょう。

【庭木】
 沈丁花やつつじには9月の内に追肥しておきましょう。
 10月はヤマモモの剪定時期です。

【家庭菜園】
 10月なかばまではアサツキやワケギの植えつけ時期です。
 小松菜やほうれん草、小カブ、ラディッシュの種まきは10月いっぱいまでに行いましょう。



■10月の庭仕事(1)

 10月はまだまだ秋蒔きを楽しめます。9月とちがい、台風の心配もほとんどなく、庭仕事にはいい季節です。
 秋は虫が少なく、虫に狙われやすい新芽の時期を無事に乗り切れるため、秋蒔きすると大きく育ってくれます。

 お勧めはイタリアンサラダに欠かせないロケットハーブ写真集に掲載している花が咲いた大株は秋蒔きしたロケットの翌春の姿です。
 このほか、和洋中いろいろな料理に活躍する細葱チャイブ、独特の匂いが強烈なコリアンダー、ビタミンC豊富なパセリ、キュウリの香りの葉サラダバーネットなども秋蒔きに向いています。

 挿し木にもいい季節です。
 爽やかな香りのミント、代表的ハーブラベンダー、老化防止のハーブと呼ばれるローズマリーなどはこの季節にせっせと挿し木で増やしておきましょう。



■10月の庭仕事(2)

    ──▼── 株分けや植替えでリフレッシュ ────────


 夏の間にグングンと成長してくれると、世話をした甲斐があって、うれしくなりますね。でも鉢植えはそのまま置いておくと、窮屈になって、傷んできます。ひと回り大きな鉢に移す鉢替えをしてあげましょう。

 株分けは植物を増やす方法のひとつです。
 また株があまり大きくなると、株が弱ってくる植物は2、3年ごとに株分けで株をリフレッシュさせる必要があります。レモンバームやアルメリア、ギボウシ、フロックス、シバザクラ、ジャーマンアイリス、シャクヤク、デージー、シラン、スズラン、ハナトラノオ、クリスマスローズ、フクジュソウ、ミヤコワスレ、ムラサキツユクサなどは株分けが必要です。

 10月は多くの宿根性のハーブや、春から初夏にかけて開花した植物の株分けに適しています。ただし寒冷地の場合は4月中旬から5月中旬をお勧めします。
 観葉植物の株分けは5〜7月、あるいは9月に行いましょう。寒冷地なら6〜7月がよいでしょう。
 夏から秋にかけて開花した植物の株分けは3月中旬から4月中旬が向いています。寒冷地なら5月が適した時期です。

    ──▼── 鉢替えや株分けのタイミングの見分け方 ────

 鉢植えの植物をどんなタイミングで鉢替えや株分けすべきか、その見分け方を覚えておきましょう。

 まず鉢を持ち上げ、鉢底をのぞいてみてください。底穴から根が出てきていたら、もうその鉢は窮屈になり始めた証拠です。

 また水をやった後、表土に水がいつまでもたまっていて、なかなかしみこんでいかなくなった場合は根詰まりしているか、あるいは土の団粒構造が壊れているので、鉢替えや土の入れ替えが必要です。

 鉢替えするときはひとまわり大きな鉢へ植え替えます。たとえば3号鉢で育てていた植物なら4号鉢に替えましょう。
 秋は休眠の季節へ向かう時期なので、まず、これで大丈夫です。春に鉢替えする場合はミントのように生育盛んな植物はふたまわり大きな鉢に植え替えないと、すぐに根詰まりしてしまいます。

 どんどん大きな鉢に替えていくと、ベランダなどのスペースが足りなくなる、あるいは鉢が重くて扱いに困るといった場合、株分けもお勧めです。スペース不足なら、ひとに上げてしまいましょう。ただ、あまり小さな株では株分けできません。種類にもよりますが3〜5つ以上の芽を1株として分けたいので、まだ4〜5つ程度までの株では株分けできません。


 株分けもできない、鉢も大きくしたくない場合は、根を切り詰めましょう。鉢から出したら、高さと周囲とを1/3程度崩して、根を切り、同時に枝も1/3程度剪定して、同じ鉢に新しい土を足して、植え直します。




    ──▼── 鉢の適切サイズ ───────────────

 ところでなぜ鉢は大きすぎてはいけないのでしょうか? 大きな鉢なら土も多く、地植えの自然な状態に近くなって、よさそうに思えますよね?

 地植えと鉢植えとの一番のちがいは、地植えが開けた空間なのに対して、鉢植えが閉じられた空間であることでしょう。鉢の中は土が限られていて、水をやりすぎれば空気の入る隙がなくなり、水やりが足りなければすぐさま水不足となってしまいます。
 大きな鉢に小さな植物を植えた場合、吸い上げる水の量が少ないので、土がなかなか乾かず、根腐れを起しやすくなります。

 また根は壁にぶつかるとそこで枝分かれして、細かく根を張ります。ところが大きな鉢の場合、なかなか壁にぶつからないので、枝分かれもせず、根の量が少なく、貧弱な株になります。

 もちろん小さすぎる鉢では根だけでいっぱいになって根詰まりを起します。

 鉢は適切なサイズのものを選び、めんどくさがらずに、成長度合いに合わせて鉢替えしていきましょう。

 なお、鉢の深さに関しては、植物ごとに縦に根を張るもの、横に根を張るものなど根の張り方が異なりますから、植物に合わせて深鉢、浅鉢など適した鉢を選びましょう。


    ──▼── 鉢替えや株分けのコツ ────────────


 「根と葉のバランス」で詳しく説明していますが、植物にとって根と葉のバランスは重要です。植え替えや株分けの際にはどうしても根を傷つけるため、このバランスが崩れます。
 通常はできるだけ根を傷つけないように心がけ、同時に葉を減らして、バランスを取るようにしましょう。
 大きくしないためにあえて根を切り詰めるような場合はなおさら葉を減らさなければなりません。根を1/3減らしたら、葉も1/3減らしましょう。

 株分けするときは、鉢植えなら鉢から出して、地植えなら地面から掘り出して、根の部分を両手で持ってふたつ割りにします。どうしても手で割れない場合は、はさみを使いますが、できるだけ切らずに根を分けるようにしてあげてください。



■10月の庭仕事(3)

    ──▼── 園芸シーズン ポイントチェック ────────


 春と秋は二大園芸シーズン。株分けや挿し木など苗や球根の手入れから、種まきや植えつけなど楽しい庭仕事もたくさんあります。そこで、それぞれのポイントをざっと押さえておきましょう。

 まず種まき。
 品種によって早い時期に蒔くべきものと、逆に冬前に大きくなりすぎないように遅めに蒔いたほうがいいものがあります。パンジーやハボタンなどは9月の内に蒔いておきたかったもの。スイトピー、エンドウ、ルピナス、キンギョソウなどは10月中旬くらいが適期です。

 挿し木。
 水分の管理に注意してください。まだ存外、日差しの強い日があるので、うっかりすると水切れさせて、ダメにしてしまいます。根がしっかり伸びるまでの間は常に水を切らさないように注意しましょう。ローズマリーなど発根まで時間がかかるものは留守時用の給水装置などを使ったほうが安全です。

 株分け。
 宿根草や、春から初夏にかけて開花した植物の株分け時期です。ただし寒冷地の場合は4月中旬から5月中旬に行いましょう。
 ミントなど夏の間に大きく成長した鉢植えの植物は根詰まりしていないかチェックしてください。
 鉢植え以外でも、株があまり大きくなると、株が弱ってくる植物は2、3年ごとに株分けで株をリフレッシュさせる必要があります。レモンバームやアルメリア、ギボウシ、フロックス、シバザクラ、ジャーマンアイリス、シャクヤク、デージー、シラン、スズラン、ハナトラノオ、クリスマスローズ、フクジュソウ、ミヤコワスレ、ムラサキツユクサなどはこういった株分けが必要です。
    ──▼── 秋の消毒や退治で、病害虫の越冬阻止! ────

 秋は5、6月に劣らず、病害虫の多い季節です。ところが終わりかけた植物を片付けたりしている内にすぐに冬。被害も少なくなっていくので、つい、そのまま対策もせずに放置しがちです。
 しかし被害が収まったからといって、病害虫が消えたわけではありません。単に冬眠に入っただけ。そのままにしておくと、来春になってから被害が大きく広がります。冬になる前に、しっかり退治しておきましょう。

 農薬散布のコツを読んで、上手に農薬を使いましょう。

 ハーブを材料にした虫避け薬など安全性の高い農薬は楽天市場の【園芸薬剤・活性剤】へ。




    ──▼── 自分で育てなければ食べられない、本当のハーブ ───

 アジア各国の旅と料理について書いてらっしゃる作家の方と仕事しています。彼女の著作を読んでいたら、料理レシピの中に「レモングラスを輪切りにする」というくだりがあり、わたしは「?」と首を傾げました。スーパーの野菜売場で売られているレモングラスは、ススキの葉のような平らでカサカサした葉を10pほどに切ったものです。「平らな葉を輪切り?」
 思わず著者にたずねたところ、思いがけないことを教えられました。タイでは、日本で売っている葉の部分は香りが弱いので、ほとんど使わないのだそうです。主に使うのは、根に近い部分の丸い茎。だから「輪切り」することになります。

 同じような例は他にもあります。

 最近、ルッコラをハーブコーナーではなく、ふつうの青菜のコーナーで見かけることがあります。これがやたら大きくて、硬い葉のルッコラ。わたしの友人はこれを食べて、その強烈な苦さにこりて「ルッコラは二度とごめん」と言っていました。なんて、もったいない! ハーブ売場で売っているような、小さくて、柔らかいルッコラなら、苦味はわずかで、ゴマの香りがする、おいしい菜なのに。

 バジルも、日本では大きくなった苗から収穫された葉だけで売られています。でもイタリアではまだ背が低い小さな苗を、根っこから引き抜いて、ちょうど日本で売られているほうれん草のような感じで、売っていて、料理には若い茎の若い葉を使うことが多いようです。

 最近はスーパーなどで食用ハーブが手に入りやすくなっていますが、売る側の都合で、本来の大きさや形では手に入れられないことも少なくありません。
 本当のハーブを食べたかったら、ぜひ、自分の手で育ててください。

 ハーブの育て方や利用法は【ハーブ図鑑】をごらんください。



■11月の庭仕事(1)

 バジルは東京でもそろそろ枯れ始めます。
 日当たりの悪い場所や寒い地方では10月から枯れ始めたところもあるでしょう。

 突然、葉が茶色くなってへなへな弱ってくるので、初めて経験したときは「水切 れか? 根詰まりか?」と原因を探って悩みました。
 でも寒さに当たったせいでした。

 バジルは原産地の熱帯地域では多年草です。
 でも日本では一年草扱い。それは日本の冬を越せないため。

 どうしても越年させたい方は早めに鉢に上げて室内に置いてください。

 わたしは例年とっととあきらめて、毎年、春になると種を蒔くのですが、いつも虫に食われて、最終的には初夏に苗を買ってきてしまっています。


 一方、秋蒔きしたロケットコリアンダーを始め、レモンバームミントなど日本でも戸外で冬を越せるハーブはたくさんあります。

 でも冬は日当たりも悪いので、葉が多いと、それだけの葉に必要な日光がないため弱ります。レモンバームミントなど冬でも青々としているハーブは地上部を刈り込んであげましょう。

 特に冬の日当たりの悪い場所は地上部を10cmていどだけ残して刈り込んでしまいましょう。
 ただし、大きくなっている場合はいきなり刈り込まずに、一度にサイズが1/3くらいになるまで刈り込み、1週間くらい様子を見て、なじんだところでまた刈り込む…を繰り返してください。

 またそろそろ霜避けに根元の土を敷き藁やバーク、落ち葉などで覆ってあげましょう。



■11月の庭仕事(2)

    ─▼──── 寒さ対策法 ───────────

 寒さ対策の方法をいくつかご紹介しましょう。

■冬が休眠期の宿根草は刈込み
 春から夏にかけてぐんぐん伸びて、開花する宿根草、たとえばレモンバームセージなどは1/3程度に刈込んで、地上部を小さくして、休ませてあげます。

■霜対策はマルチ
 植物の足元にマルチして、暖かくします。マルチにはピートモス、ワラ、枯葉などを使いますが、風が強くて、それらが飛ばされてしまうような場合にはバークがお勧めです。見た目もおしゃれです。

■室内取り込みは乾燥や窓際の寒さに注意
 非耐寒性の植物は室内に取り込みます。取り込む際は鉢や葉の汚れを拭いて、傷んだ葉は取り除き、できれば取り込む数日前に消毒して、病害虫などは駆除しておきましょう。  室内では暖房による乾燥に注意しましょう。また昼間は太陽に当てるべく窓際がいいのですが、夜は冷えるので窓ガラスから少し離したほうが安全です。

■ビニールハウス
 半耐寒性の植物はビニールハウスに入れましょう。ビニールハウスといっても、支柱を立てて、ビニールをかけただけの簡易なタイプもあります。ホームセンターや園芸品店で探してみましょう。小さな鉢などは浅い箱やカゴに入れて、上にビニールをかけておくだけでも済みます。

■鉢覆い
 ベランダに置いてある鉢植えなどはコンクリートに直接置いていると、冷えます。ウッドデッキなどが敷いてあるとよいようですが、さらに発泡スチロールの箱に入れると、かなり保温効果があります。鉢カバーも寒さ避けに役立ちます。
 また大きな鉢は流し台シートとして売っている銀色の保温シートなどで鉢の回りを覆うと寒さから守ってあげられます。

 またそろそろ霜避けに根元の土を敷き藁やバーク、落ち葉などで覆ってあげましょう。


▼△▼△▼△▼△11月・12月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 季節はわたしの住む東京を基準に書いています。

【ハーブ】
 刈込み、マルチなどを防寒対策しましょう。

【草花・花壇】
 宿根草の地上部刈込みやマルチなど防寒対策しましょう。

【鉢花】
 室内への取り込み、鉢の保温対策などを行いましょう。
 耐寒性のある冬の花もマルチや鉢カバーなどは必要です。

【観葉植物】
 室内でも夜は冷えるので、窓際には置かないように注意して、この時期は作業も行わず休ませてあげましょう。

【庭木】
 ムクゲとヤマモモの剪定は11月・12月に行いましょう。

【家庭菜園】
 最近テレビなどでも話題のスプラウト類は室内でも育てられます。野菜不足になりがちな季節なので、室内で野菜を育ててみてはいかがでしょう。



■11月の庭仕事(3)

    ─▼──── 室内や温室への植物取込 ──────

 耐寒性のない植物は庭に出したままでは冬を越せません。
 室内への取り込んだり、温室に入れる必要があります。温室といっても、立派な建物が必要なわけではありません。ベランダでも使えるコンパクトなビニール温室がいろいろあります。
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 室内や温室に取り込めば、植物にとって温度的には快適になりますが、その環境は病害虫にとっても快適な環境。一気に病害虫が広まる危険があります。

 そこで植物を取り込む前に、きちんとした消毒をして、病害虫退治をしておく必要があります。
まず葉の変色や穴などがないかをチェックしましょう。あった場合は病害虫の恐れがあります。なんの病気や虫なのか、本などで調べてから、それにあった薬を撒いて消毒してください。
 その際、異変のあった葉などは取り除いておきます。これは病気などがこれ以上広がらないようにすると共に、変化を見るためです。
 薬を撒いて、数日立ってから見てみて、元気なら、防除に成功したことになります。また虫食いなどがあれば、薬が適してなかったのかもしれません。まだ病害虫との戦いを続ける必要があります。

 こうして、植物が元気になったことを確認してから、室内などへの取り込みを行いましょう。


▼△▼△▼△▼△11月・12月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 季節はわたしの住む東京を基準に書いています。

【ハーブ】
 レモンバームやレモングラス、ミントなどは戸外でも暖かい場所なら冬越しできますが、冬の間は根元10cmほどだけ残して刈り込んでやってください。
 またローズマリー、ラベンダーなどを含めて、戸外で冬越しさせるハーブはマルチで根元の防寒対策をしてあげてください。
 冬や初春に花が咲く、ローズマリーやハゴロモジャスミンなどは鉢植えなら花芽が傷まないように、軒下に入れるとよいでしょう。

【草花・花壇】
 マルチなどの寒さ対策をしてください。
 冬越しさせる宿根草などは地上部を短く刈り込みましょう。
 冬も盛んに花咲く植物は、夜間は寒冷沙をかけて霜対策すると、長く花を楽しめます。

【鉢花】
 夏の花は片付け、冬を彩る花に模様替えしましょう。
 コニファーにポインセチアやガーデンシクラメンなど、クリスマスシーズンを演出する寄せ植えはいかが?

【観葉植物】
 室内に取り込んだ鉢は、暖房などが直接当たらないように、また太陽が十分当たるように注意しましょう。

【庭木】
 12月になったらハナミズキの剪定を。花芽がついているので、芽のない先端だけを刈るようにしましょう。
 ムクゲは11月から、サンショウは12月が剪定時期です。

【家庭菜園】
 春大根の種まき適期です。
 冬越しさせるものは寒冷沙をかけて霜対策しましょう。



■12月の庭仕事(1)

 12月はごく一部を除いてハーブはお休み。やることもあまりありません。デンタータ系のラヴェンダーローズマリーの花を愛でて、リースなどを作って楽しみましょう。
 でも植物が少ない時期だからこそ、ぜひやっておきたいこともあります。それが土の手入れです。


    ──▼────春に備えて土を再生!──────

 枯れた草木はもう抜いて片づけましたか?
 枯れて倒れた草などを残しておくと、虫のすみかになりやすく、また病気発生の元にもなりますから、終わった苗はさっさと片づけましょう。

 空いた土はいまの内に手入れしておきたいものです。

 鉢やプランターの土は1年でほぼ寿命が来て、そのままでは次の植物を育てる力がありません。次のようにして再生してあげてください。


1)まずビニールシートの上で鉢などを逆さまにして中身を出したら、鉢底の軽石などを取り除きます。土を崩しながら残った根など目立つゴミも取り除きましょう。さらにふるいにかけて残った石や根などをより分けます。

2)この土とゴロ石は別に分けて、それぞれ寒冷沙を敷いたプラスチックの浅いカゴなど水はけの良い器に浅めに広げるようにして入れましょう


3)土の上から熱湯を全体にたっぷりとかけて、害虫駆除と殺菌をします。


4)濡れた土をそのまま戸外において、冬の霜と寒さでさらに病害虫の駆除を行います。1ヶ月に一度くらい土を混ぜて上下を入れ替えましょう。


5)春になったら古い土2〜3割、新しい土7〜8割の割合で混ぜて、また再利用しましょう。
ハーブ用土として使うなら、土をアルカリ性に傾けてくれ、カルシウムも加えてくれる苦土石灰を混ぜ込みましょう。
つつじやエリカなど酸性土を好む植物の場合は苦土石灰は入れないでください。



■12月の庭仕事(2)

    ─▼──ローズマリーで作るクリスマスリース──

 種から育てたり、小さな苗を買ってきて育て始めた頃のローズマリーはまるで時が止まったかのように遅々としてなかなか育ちません。ところがある程度大きくなると、その後は意外にぐんぐん大きくなっていきます。気がつくとぼさぼさとした大きな苗になっています。
 こうなると、安心して思い切って収穫することができるというか、むしろ刈込まないと蒸れてダメになりかねません。

 では長めの枝を根元から数本切ってクリスマスリースを作ってみましょう。

 造花用品売り場で細めのワイヤ(28〜30番)のを買ってくると仕事しやすいのですが、それがなければ、添え木に枝を止めるためのワイヤ類を使ってもかまいません。ただ太いワイヤを使う場合は葉が取れたり、枝が傷つきやすいので、そっと優しく作業するように心がけましょう。

 まず枝の自然なカーブを見て、根元を上、先端を下にした状態で時計回りに円を描くように、つまり左側に曲がるように枝を置きます。
 枝の半分の長さのところにもう1本の枝を同じ向きに添えてワイヤで止めましょう。
 このとき切った根元がもう1本の枝の裏側に隠れるように添わせてください。
 7〜10cmおきにワイヤで留めていきます。ワイヤは短めにして余分は枝の裏に添わせて隠してください。

 次の枝は2本目の枝の先端の半分に添えます。つまり1/2ずつずらして枝を添わせて、すべての個所が枝が二重になった状態にします。
 最後の枝の先端は最初の枝の根元側に添えると、ぐるりとつながった輪になります。
 これでローズマリーの輪ができあがりました。

 ローズマリーの葉は乾くとパラパラ落ちてきます。少しでもとどめるために、リボンを軽く斜めにぐるりと巻きましょう。リボンの最後は最初の端と結びます。

 飾りはリボンの結び目を隠すようにつけましょう。
 写真のリースはリボンの結び目からベルをぶらさげた後、金色のリボンをワイヤでつけて結び目を隠しました。
 松ぼっくりやサンタなど、クリスマスツリー用に売っている飾りを利用するのも一手です。



■12月の庭仕事(3)

     ──▼──── 冬の寄せ植えの楽しみ ──────────────

 我が家はマンションですが、南北に庭があり、マンションの専用庭として広いほうでしょう。ただし塀際には最初からぎっしり木が植えられ、残りの地面も芝で埋め尽くされていました。幸い(?)芝は枯れてくれたので、芝の枯れた後に作った小さな花壇とと大木の根元に少々の植物を植え、後はテラスでほんの少々の鉢植えを楽しんでいます。
 地植えできるといっても、植えられる場所はごく限られ、またマンション業者からも「この部屋は日当たりが悪いです」とお墨付をもらったくらいで、花ものはあきらめていました。特に南側の庭は日当たりが悪く、冬はほんの1メートル四方の日だまりが3時間ほどで東西に駆け抜けていくだけで、1箇所に1時間の日当たりさえ望めません。
 さすがに冬の花はあきらめていました。
 ところが、昨年から周囲の環境が変わり、トレリスにハンギングで少しだけ寄せ植えを楽しめるようになりました。といっても、日が当たる場所は小さな鉢、2、3を置けるだけですが、その少ないスペースでできるだけ目一杯楽しもうとしています。


     ──▼──── 寄せ植えは性質を揃えてセレクション ───────

 寄せ植えする植物の選び方ですが、まず性質の似たものを集めましょう。乾燥を好むアロエと湿り加減を好むミントを一緒に植えたり、アルカリ性を好むローズマリーと酸性を好むエリカを並べたりすると、うまく管理ができません。

 性質の異なる植物で寄せ植えのイメージを作りたいときは、寄せ鉢にしましょう。寄せ鉢とはカゴなどに鉢を並べて入れて、寄せ植えのようなイメージに仕立てることです。


     ──▼──── 素敵に見せるセレクションのポイント ───────

寄せ植え写真  見た目を形よく整えるためのセレクションには以下の3つのポイントがあります。

 まず第1のポイントは
1)高さを出す植物
2)足元をこんもり埋める植物
3)コンテナの縁からこぼれるようにあふれたり、下に垂れ下がって、寄せ植えに広がりを出してくれる植物
 この3種類をそれぞれ用意すること。これで全体として形が整えやすくなります。

 第2のポイントは色のコーディネーション。花には赤、ピンク、オレンジ、紫など赤系統の色が多いですが、赤という色は葉の緑とは反対色という目立つ組み合わせです。なので、黄色と青のように、花同士までが対比の強い色を会わせると、チカチカした落ち着かない雰囲気になってしまいます。
 一番無難な組み合わせは同系色。たとえば藤色と紫、黄色とオレンジなどなら、まず間違いありません。

 第3のポイントは葉を上手に使うこと。花だけでぎっしり埋め尽くそうとすると、うるさくなりがちです。葉も白っぽいもの、暗い緑のもの、丸いもの、細長いもの、色も形もいろいろありますから、葉もよく眺めて選びましょう。

 我が家の寄せ植えの主役はミニ・コニファーです。
 我が家にも本当は立派な2メートルほどのコニファーがありましたが、日当たりの悪さのために、数ヶ月で枯れてしまいました。生えているクリスマスツリーが夢だったので、せめて…と寄せ植えにミニコニファーを植えました。

 コニファーを中央後部に植えたら、両脇や手前には葉牡丹やガーデンシクラメン、パンジーなどで華やかさを添えて、一番手前にはハツユキカズラやアイビーなど垂れ下がるものを配置しています。これで立体感が出ます。スペースが多いときは、ヒメヒイラギなどこんもりした緑を添えることにしています。

※色について、もっと知りたい方はわたしの仕事関連サイト「SOHO know-how」の「Webデザイナー」のためのノウハウを書いた中にある【色彩学の基礎】 をごらんください。

▼△▼△▼△▼△12月・1月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 季節はわたしの住む東京を基準に書いています。

【ハーブ】
 ローズマリーは耐寒性を持つものが多いですが、冬も咲く品種の場合には特に苗の足元の防寒などを心がけましょう。
 ミントやレモンバームなど宿根草は冬の間の負担を減らすため、地上部は小さめに刈り込みましょう。

【草花・花壇】
 花壇の防寒対策を施しましょう。
 
【鉢花】
 戸外に置いてあるものは保温を心がけ、花がらはこまめに取り去りましょう。

【観葉植物】
 室内に置いた観葉植物は乾きがち。保湿を心がけましょう。

【庭木】
 山椒、木蓮、ハナミズキの剪定は12月から1月にかけて行いましょう。

【家庭菜園】
 畑の天地返しなど、土の手入れをしましょう。





■12月の庭仕事(4)

     ──▼──── 冬の鳥対策 ───────────────────

   鳥が遊びに来る庭……それは本当は夢のある素敵な風景です。
 そして鳥は自然のサイクルを回す力のひとつでもあります。植物についた虫を食べてくれます。花の蜜を吸いながら、受粉の手伝いをしてくれるので、実はたくさん生ります。実をついばんみ、糞と共に排出された種から新しい木々や草花が芽吹きます。
 でも、自然の木々が少なくなった地域では庭に群がりすぎる鳥たちに、苦労して育てた植物の実も花もぼろぼろにされてしまったり、ベランダを糞で汚されて困るケースも少なくありません。
 特にこの季節、被害が目立つのはヒヨドリ、ムクドリ。花を丸坊主にしてしまうことも多いようです。その他、鳩や雀にも悩まされることもあります。
 あまり、被害が大きかった場合は、やはり対策が必要です。鳥を防ぐ商品は随分いろいろ出ていますが、ニセモノ猫や磁力などはどれもしばらくは効果があっても、時間と共に効果が薄れたり、鳥の種類によっては効果がなかったりするようです。
 一番、確実な手段はネットです。
 ベランダなどなら、完全に塞いでしまうのも手です。鉢や花壇なら、支柱を立てて、ネットを張ります。
 張るときはしっかりと隙間のないようにきっちり張りましょう。すそは重しをつけておかないと、くちばしでめくって入ってきます。我が家も前のマンションではベランダに鳩が住み着いてしまい、ネットを張りましたが、隣の家のベランダから回って入ってきたり、わずかな隙間から入ってきました。

 ネット選ぶときは、つい見た目を考えて、目立たない色のものを選びがちですが、大きな範囲に張る場合、鳥が気がつかずに突っ込んできたり、中に入り込んだ後、出ようとして突っ込んで、ネットにひっかかって死んでいることがよくあります。鳥が突っ込めない目の細かいネットで、色もはっきりしたものがおすすめです。

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     ──▼──── 最近人気のワイルドストロベリー ───────────

 2002年10月16日放送のテレビ「ザ!世界仰天ニュース」で、埼玉県飯能市のハーブ園で“ワイルドストロベリー”の苗を購入して育てた女性がわずか1年でスピード結婚。さらに、その女性から鉢分けをしてもらい花を咲かせた女性も次々と結婚したというお話が流されたところ、「そのワイルドストロベリーでなくてもいいから、ワイルドストロベリーがほしい!」といま、日本中で若い女性の間で大騒ぎらしいですねえ。

 我が家の庭ではワイルドストロベリーがはびこってます。最初はたった2つ株分けしてもらっただけなのに、翌年には2メートル四方を埋め尽くしてしまいました。その後、多少枯らしたりしましたが、いまもまだまだあふれています。

 ただ、これまでに株分けしたり、プレゼントした中で、うまく育たなかったひともけっこういました。どうも原因は土のようです。
 ワイルドストロベリーに限らず、イチゴは粘土質の土地が大好き。我が家の庭は水はけが悪くて悩むくらいの粘土質。おかげで、ワイルドストロベリーは次から次へとランナーを伸ばして、増えていっています。
 ワイルドストロベリーを手に入れたかたは乾きにくい土を選んで、水切れさせないようにして、育てましょう。
 本来は植つけ時期ではない12月に手に入れた場合、あまりいじって株を疲れさせないように、購入後、ひとまわり大きな鉢に植え替えてあげたら、適度な日当たりに置きましょう。水をまめにやる分、霜の被害が置きやすいので、しっかり霜対策のマルチなどをほどこしてください。




▼△▼△▼△▼△12月・1月の庭仕事カレンダー▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 わたしが住む関東を基準に書いています。

【ハーブ】
 冬も花を咲かせるローズマリーやラベンダー、ハゴロモジャスミンなどは特に霜でやられないように、しっかり株元にバーク※や落ち葉を敷いてあげましょう。鉢なら軒下に入れるのもよいでしょう。
 バジルなどが枯れて空いた花壇があれば、1月、2月の内に天地返しをしておくと、次の春夏は虫や雑草を減らすことができます。

【草花・花壇】
 マルチなどの霜対策をしっかりやっておきましょう。
 空いた花壇があれば、1月、2月の内に天地返しをしておくと、次の春夏は病害虫の害や雑草が少なくなります。

【鉢花】
 花が終わったカランコエやシネラリアは切り戻しておきましょう。
 シクラメンは盛りを過ぎた花がらをまめに取るようにすると、養分をとられず、次の花が元気に咲いてくれます。花がついた茎の中ほどをつかんで回すようにすると、根元からきれいに取れます。
 クリスマスシーズンを演出する寄せ植えも楽しいものです。
 空いた鉢の古い土は寒気を利用して再生させましょう。

【観葉植物】
 室内に取り込んだ鉢は、暖房による乾燥に注意して、葉水を与えるなどしましょう。
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【庭木】  山椒、木蓮、ハナミズキの剪定は12月から1月にかけて行いましょう。
 今年、カイガラムシなどに悩まされた場合には1、2月の休眠期に、マシン油乳剤などをまいて、冬の間に殺虫しておきましょう。
 冬の木の消毒作業のコツを読んでください

【家庭菜園】
 天地返しで土を元気にしておきましょう。



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